神戸市は、地形上六甲山系により南北に二分されており、大阪湾に面した南側は、六甲山系の山麓部とそこから流れ出る中小河川による扇状地、海岸低地及び埋立地によって構成され、この地域に神戸の中心部が位置している。
六甲山の地質としては、大部分が花崗岩類でできている。花崗岩は深成岩で、地下深所で生成されたものであるが、六甲山系の形成にあたり発生した六甲変動と呼ばれる地殻変動の影響による隆起と、被覆していた堆積層の削剥により、現在のような形で地表に露出している。この花崗岩は表層部分だけでなく、深層まで風化が及んでいる。
花崗岩地帯は、一般に地下水位が低く、土壌が貧弱であるため、伐採などがなされるとなかなか植生が復活せず、土壌が流されてはげ山になりやすい。また風化すると非常にもろく、マサ(真砂)とよばれる砂状の岩石になる。マサは雨で浸食されやすく、水を含むと崩れやすくなる性質を持つため、しばしば過去の水害にみられるような土石流を引き起こすことがある。
神戸市の自然条件としては、このような六甲山系の雨に弱い地質のほか、崩壊現象を助長する断層、破砕帯が多く存在しており、市街地においても地形的にみれば急斜面が多く、急勾配の渓流河川が存在するといった特徴がある。また、気象条件からみると六甲山系が瀬戸内海に面して直立している地形から、低気圧や前線の前面で上昇気流を起こしやすく、時として豪雨をもたらす場合がある。