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定例会見 2023年5月23日

最終更新日:2023年5月23日

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・会計年度任用職員の処遇改善
・神戸市の人口について

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会計年度任用職員の処遇改善

司会:

 それでは、ただいまより5月2回目の市長定例会見を始めさせていただきます。

 市長、よろしくお願いいたします。
 

久元市長:

 よろしくお願いいたします。

 私から今日お話を申し上げたい案件は2件です。会計年度任用職員の処遇改善、2番目が神戸市の人口の見通しと人口減への対応につきまして御説明を申し上げます。

 自治体の職場には、会計年度任用職員という職員がいます。いわゆる非正規の職員で、この非正規職員の処遇、特に給与面などの処遇を改善するということが従来から求められてきました。この会計年度任用職員というのは何なのかというと、2020年4月の地方自治法・地方公務員法改正によってできた制度です。それまでは、正規職員の事務補助として臨時的任用職員、あるいは嘱託職員という非正規の職員がありまして、いわゆるアルバイトというような認識だったんです。あるいはパート職員というような認識だったわけです。

 これは、法律上の根拠は地方公務員法の中に一応あったわけですが、実際それがどういう効果を持つのかということについては自治体の判断に任せられていて、様々な名前で職員を採用していたり、あるいは処遇もばらばらだったわけです。そこで、この地方自治法・地方公務員法の改正によって、これらを会計年度任用職員というカテゴリーを設けて、原則としては、この正規職員の事務補助のような職員は原則会計年度任用職員に統一する、こういうことになりました。これで、会計年度任用職員については給料のほかにどういう手当を出すのかということもはっきりしたわけです。一斉に自治体はこういう制度に移行したわけで、正規職員の定数は、これは条例で定められるわけですけれども、これを補完する形で会計年度任用職員が広範に使われています。

 神戸市ではこの会計年度任用職員、市長部局、それから教育委員会などと合わせて約6,000名を超える会計年度任用職員が任用されていまして、行政事務の執行に大きな役割を果たしてくれているというところです。ただ、この会計年度任用職員の給与をどうするのかということについては、これは正規職員とは異なる取扱いが行われています。

 正規職員については、これは国家公務員に準ずる形で、それぞれの職種ごとに給料表が定められる。この給料表の水準については、人事委員会の勧告によって、これを尊重して決定するということが法律上要請されているわけです。人事委員会におきましては、人事院が行う官民比較の調査の一環として、それぞれの自治体の中でも、同じ経験年数などの民間の給与の実態との比較によって調査が行われ、その調査に基づいて人事委員会勧告が行われ、それに基づいて給料表を執行機関がそれぞれ作成し、市長が議会に提案をして毎年度の給料が決まる、こういう形になります。

 これに対しまして、会計年度任用職員についてはそういうような官民比較は行われず、それぞれの自治体の判断で給料が決まっていることになっています。人事院勧告に拘束をされないだけ、その分自治体で自由に決められるわけですけれども、全体としては、その水準は低いというふうに世間では認識されてきたのではないかというふうに思います。いわゆる官製ワーキングプアなどという言葉が流布しておるのが、そういうような状況、そういう会計年度任用職員に対する社会的な見方の一端を表しているのではないかというふうに考えられます。

 現在、我が国に求められているのは、やはり経済の活力を回復させていく上で求められているのは、賃金の引上げです。これはどのような分野においても賃金の引上げというのはやはり必要ではないかということが、そういう認識が広がってきたように思われています。やはり公務職場においては、その原資は税金ですから慎重に考えられなければなりませんが、やはり賃金を引き上げていくというような大きな流れに自治体も対応していかなければならないのではないかというふうにかねてから考えてきました。また、事実上同じような仕事をやっているにもかかわらず、この正規職員の処遇と非正規職員の処遇があまりにも違うということについては、これは職場の士気にも関わりますし、ある意味で不公正な取扱いとも言えます。

 私は、市長になりましてから、この非正規職員については、数次にわたりまして3%の賃金の引上げなども行ってきました。昨今の事情に鑑みますと、やはり会計年度任用職員については、やはりかなり思い切った処遇の改善をしなければいけないというふうに考えまして、今回、まずこの給与月額を引き上げる措置を取ります。会計年度任用職員にも給料表が適用されまして、何号、何級というふうに級と号給が定められるわけです。

 一般事務の会計年度任用職員は、基本的には1級です。一番給与水準が低いところに位置づけられるわけです。2級はいないです。

 この初任給、その場合には1級の何号給というふうに格付されるわけですが、神戸市の独自の措置といたしまして、この4月からこの初任給、これはフルタイムの場合が17万円で短時間勤務の場合には13万6,000円ですが、これを4月から既に17万5,000円と14万円に引き上げております。大体3%程度初任給を引き上げることにいたしました。

 その後、この秋頃には、これも神戸市独自の措置といたしまして、職務経験を考慮した改善を行います。会計年度任用職員は経験を積んでも給料が上がらないという対応でしたが、会計年度任用職員についても一定の期間職務を経験すれば給料が上がると。17万5,000円の会計年度任用職員が一定期間勤務をすれば18万5,000円に給料が上がる、フルタイムの場合です。短時間勤務の場合にも14万円が14万8,000円に上がると。大体5%の改善をこの秋から行うことといたします。トータルで3%と5%ということで、8.8%の給与月額が引き上げられると、こういうような対応を実現したいというふうに考えております。これが給料の部分です。 

 一方、賞与については、これは、会計年度任用職員は地方自治法で出すことができる手当の種類が決められておりまして、賞与は期末手当と勤勉手当で構成されますが、期末手当は出せるけれども勤勉手当は出せないということになっているのが現状です。期末手当につきましても、自治体の判断に任せられているわけですけれども、昨年の12月に、神戸市独自の判断といたしまして期末手当を2.4月から2.5月、0.1月分増額をするということにいたしました。

 こういうふうに、この増額をしたのは、国のほうも現在の期末手当だけでは不十分ではないか、期末手当、勤勉手当ということをトータルに考えた制度改正ということも検討されておりましたので、やはり期末手当、勤勉手当、制度上は今、勤勉手当はありませんから、期末手当はやはり増額すべきではないかというふうに考えたわけです。

 国はその後、地方自治法改正案を用意いたしまして、会計年度任用職員についても勤勉手当を支給するということにいたしました。新たな勤勉手当を支給するということにいたしました。現在の2.5月が4.4月になるということで、これは国の措置です。国の措置として手当を行います。この地方自治法の改正案は4月26日に成立をいたしました。これは全国の自治体共通ということになりますが、神戸市も必要な対応を行っていきたいと考えております。

 このような処遇の改善は、考え方をまとめますと、給与月額を引き上げる。その内容は、初任給を改善するということと、職務経験を考慮した改善をするという、こういう2つの内容からです。もう1つは賞与の引上げです。神戸市の独自の対応といたしまして、期末手当の増額と、これまでなかった新たな勤勉手当の支給を行うということで、賞与の引上げ、こういう方法によって、非正規職員である会計年度任用職員の給与水準を改善したいと考えております。

 実は、会計年度任用職員が2020年に導入をされたときに、それまでの臨時的任用などの非正規職員は、いわゆるフルタイムの、いわゆるアルバイトと呼ばれていたフルタイムの職員と、パートと呼ばれていた短時間の職員の2種類あったわけです。会計年度任用職員は、非正規職員の給料を上げるということ、改善をするということが大きな目的だったわけですけれども、多くの自治体は、神戸市もそうですけれども、フルタイムを原則やめて、短時間にすると。つまり、給与単価は引き上がったけれども、勤務時間を抑えるということによって、それぞれの自治体で、人件費総額を抑制しようという、そういうような趣旨でした。

 やはり現在、我が国が置かれている状況を考えれば、つまり、賃金水準を引き上げていかなければいけないということを考えると、やはりそういうような対応というのを続けていくのは必ずしも適切ではないというふうに考えられます。そこで、神戸市では短時間勤務職員が圧倒的に多いわけですけれども、フルタイムの職に希望する職員については選考によりフルタイムにするという対応をいたします。フルタイムにいたしますと、勤務時間がそれだけ増えるわけですから、大体30時間から31時間というのが短時間の勤務職員の勤務時間ですが、これをフルタイムになると38時間45分ですね、週に。38時間45分に増えますから、その分、手取りが増える、給与が増える、給料が増えるということになります。

 つまり、短時間勤務職員の場合、年収196万円、30時間から31時間ぐらいの職員が、200万弱だった職員が、これまでの対応と今後秋に行う対応によりまして、約240万円に増額になります。さらに、この240万円が、これは短時間勤務が前提ですけれども、希望者は基本的に原則としてフルタイムに移行するということになると、これは約300万円に引き上げられるということになります。

 こういう形で会計年度任用職員の処遇、これを大幅に改善していきたいというふうに考えております。これが第1点です。

神戸市の人口について

 2番目は神戸市の人口です。神戸市の人口は2011年、平成23年がピークであったと考えられますが、その後、減少傾向にありまして、直近時点、5月1日の推計人口は150万4,000人程度と見込まれます。この人口、このまま推移すると、直近が150万4,000人程度ですけれども、今年中には150万人を、今年中にはというふうに断定はできないわけですけれども、今年中にも150万人を割り込むということが想定されます。

 この人口の増減、最近の減少要因というのは、いろいろあるわけですけれども、1つの有力な切り口といたしまして、人口集中地区、都市というのは限られたエリアに人口が集中することによって都市が出来上がるわけですが、人口集中地区人口がどう推移してきたのかということを見ますと、1960年代は海岸部に人口が集中している、海岸部に人口集中地区が集中していたというような状況でした。その後、神戸市は、山が海に迫り、可住地人口が今度は限られているということで、昭和20年代から30年代にかけては山裾の開発も行われましたけれども、その後、郊外で開発が行われるようになり、神戸市も西神山手線を開設するということなどで郊外の開発を進めまして、人口集中地区人口は沿岸部だけではなくて、内陸部にも広がっていったわけです。これがニュータウンです。鉄道沿線、あるいは長田箕谷線などの道路の新設にもよりまして、ニュータウンをつくってきたということです。

 そのニュータウンの一部は山を削って、当時としては非常に斬新な地下のベルトコンベアを地下につくって、そして、これでポートアイランド、六甲アイランドを次々に造成していった。いわゆる株式会社神戸市と言われる手法でニュータウンをつくっていったというのが神戸の発展の歩みというふうに言ってもいいかもしれません。

 それがこのところ、大きく変わってきています。神戸市の人口の推移ですけれども、人口がおおむね2010年以降、減少傾向にあるわけですけれども、この中でニュータウンの人口を御覧いただきますと、2005年が51万8,000人、2010年が51万5,000人、2015年が51万5,000人、そして2020年、この5年間、これは国調の人口ですけれども、この5年間で51万5,000人から48万6,000人、大体3万人弱減少しております。

 ニュータウン以外のエリアでの人口は102万9,000人、102万2,000人というふうに減りましたけれども、直近の2020年の国調では103万9,000人というふうに、むしろ増加をしています。これは中央区などの都心部でマンションの建設などが行われ、増加しているということも大きな原因ではないかということです。つまり、神戸の人口減少の特徴としては、ニュータウンの人口が減っているということ、こういうような傾向が見られるわけです。

 こういうことは、もちろん私どもは大分前から分かっております。やはり郊外の人口が減るということに対して対応しなければいけない。ほかの自治体ではあまりやっていなかった、郊外の駅前のリニューアル、思い切った駅前リノベーションということをやってきたのも、西神中央とか名谷などが代表的なエリアですけれども、こういうところに郊外の駅前をリニューアル、イノベーションをして、そして快適な利便性のある駅前をつくり、そして、民間投資を誘発するということで、都心に極端に人口が偏ることがないような、そういうバランスの取れたまちづくりをしていかなければいけないのは、というのは、こういうニュータウンにおける人口減少ということを想定した対応であったわけです。今までのこういう取組というのは、決して間違ってはいなかったわけですが、人口が150万人を切るということを考えれば、やはりもう少し踏み込んだ対応をしなければいけないというふうに考えられます。

 1つは、この人口減少幅というものをいかに抑制するのかということが1つの大事なアプローチです。もう1つは、この人口減少というのは、我が国全体の人口のピークが2008年ですが、もう15年程度にわたって、人口が減少している。ほとんどのエリアが人口減少しているということを考えれば、人口減少はもう避けられない。どこに住んでいても、ごく一部の地域を除けば、人口減少ということが目の前にある。この人口減少ということにどう我々の経済社会、あるいは地域社会というのは、これに適応するということが大事なことで、それにふさわしい政策というものを実施していく。この両方は、重なる面があると思います。重なる面があると思いますが、考え方としては、人口減少をいかに食い止めるのかということと、それから、人口減少時代に適応した取組ということをどう考えるのかということ。こういうことを、やっぱり考えていかなければいけないだろうということで、これはまだ、これまで行ってきたような対応、あるいは現在考えられているようなものを、ここにイメージとして出しているわけですけれども、こういうような観点から、新たな政策ということを考えなければいけないだろうと。また、人口減少に適応した取組としては、やはりそういうような、人口減少時代にふさわしい対応ということを考えないといけない。この両面にまたがる政策というのは、当然あろうかと思います。

 それが空き家・空き地の対応です。空き家・空き地対策というのは、この神戸のように、特にニュータウンで人口が、減少が目立っているところでは、空き家は当然増えているわけですから、空き家をどう有効活用していくのかということは、人口減少を抑制する効果を持ちます。もう1つは、空き家というのはもう全国至るところに広がっています。先日の新聞の記事の中で、我が国の住宅総数が世帯数を上回ったのは、実は1970年代であったということが掲載されていました。住宅総数が世帯数を上回っているということは、もう既に1970年に、全体のストックとしては住宅が充足されてきたわけです。ところが、その後も、大体毎年100万戸程度の住宅が供給をされてきました。その後、変化はあろうかと思いますけれど、今でもこの新築住宅ということは、供給され続けているわけです。ということは、空き家がこれからどんどんどんどん増えていくというのは、当然のことです。何もしなければ。何もしなければ当然のことです。ですから、この空き家対策ということは、これは人口減少の時代にふさわしい政策として、これは相当国も地方も、あるいは経済界も、相当な覚悟を持って取り組んでいかなければいけない、そういう政策分野ではないかというふうに思います。そういうような切り口も入れながら、今後、神戸市が150万人を割り込むということを考えたときに、こういうことを考えていかなければいけない。

 そして、政策を実施していく上で、やはりエビデンスに基づいた政策を展開していく必要があります。あらゆる政策を対象にEBPMは推進していかなければなりませんが、こういう人口の動向を勘案した政策を推進する上で、やはりできるだけ的確に、将来の人口動向を推計すると。そのことが、政策展開の前提になろうかというふうに思います。これまで、どこの自治体も使ってきたのが社人研、正確には国立社会保障・人口問題研究所というんですが、この社人研の推計はちょっと粗過ぎるというのが我々の認識でして、神戸市独自の、より精緻な将来人口推計をしていくと。神戸市では、ダッシュボードを職員間で共有するという方法で、庁内で統計加工したデータの利用を行う、そしてそのデータも、神戸市全体のデータ、それから行政区単位のデータだけではなくて、小学校区単位に用意していくと。細かく正確な将来人口推計、それもこの年代別の人口推計を行って、5年後に子供たちの数はどれぐらいになるのか、5年後に、このシニア世代の数がどれぐらいになるのかというようなことを緻密に予測して、それにふさわしい政策を打っていくということ。これが、やはり人口減少時代にふさわしい政策の企画立案、あるいは実施に関するアプローチではないかということで、EBPMを推進して、適切な政策の立案を行っていきたいというふうに考えているわけです。

 そして今後、神戸市全体の政策展開の方向を示す総合計画の検討に入っていきたいと考えております。神戸市のこの計画体系は3段階になっておりまして、まずは議会の議決をいただいている基本構想です。この基本構想は、1993年から2025年という長期にわたるものです。この基本構想に即して、第5次の神戸市の基本計画が策定されています。これが、計画期間が2011年から2025年ということになっているわけです。そして、この基本計画の下位計画として、神戸2025ビジョン、これは2021年から2025年と、こういうことになっているわけですね。

 そこで、現在はまず、この神戸2025ビジョンをできるだけ早く改訂をする。この2025ビジョンの改訂の考え方は、こういう直近の人口動向を反映するとともに、神戸空港の国際化にどう対応するのかという要素も入れできるだけ早く改訂いたします。あわせて、この2025年が終期である基本構想と基本計画をセットで策定をする作業、これも同時並行的に着手をしていく。こういう形で人口減少のような、どこの自治体も直面している大きな政策課題に取り組んでいきたいというふうに考えております。

 大事なことは、未来をしっかりと見据えるということ。そして、目の前のことだけ考えるのではなくて、持続可能な地域社会、持続可能な自治体経営を行っていくということだというふうに思います。暮らしの質、まちの質を向上させる。そして、やはりSDGsという観点からいうと、豊かな自然環境との共生、これは神戸が大都市として持っている非常に大きな財産でもあるわけですから、こういう考え方を入れながら、神戸の将来ビジョンというものをしっかりとつくっていきたいというふうに考えているところです。

 私からの説明は以上です。

質疑応答(発表項目)

記者:

 人口減少について伺います。どこに住んでいても避けられない問題というのはおっしゃるとおりかなと思うんですけれども、一部の地域とおっしゃった、例えば政令指定都市の福岡市とか、県内だと明石市とか、一部の地域、人口が今のところ増加している地域もあるかと思うんですけれども、神戸市がそういった地域のようにこれから増加に変更していくというのはやっぱり難しいものなのかというのを、理由と併せてお考えのほうをお願いします。


久元市長:

 まず大都市の中でいうと、東京23区の周辺にある、川崎市、横浜市、さいたま市、千葉市、こういうところが人口が増えていってる。

 もう1つは、地域ブロックの中心都市です。札幌、仙台、それから中部圏の名古屋、関西圏では大阪、そして九州の福岡ですね。中心都市に人口がどんどん集まっている。特に札幌と福岡がそうですね。九州は、ほかに指定都市としては北九州市、熊本市がある。あと長崎や鹿児島という大都市がありますが、こういうところは全部人口が減っています。九州から福岡に人口が集まっている。

 こういうように大都市に人口が集まって、そして東京23区に多く人口が出ていってるのが、地方の大都市なんですね。圏域の中心都市が圏域全体から人口を集め、そしてそこからさらに東京に出ていくというような人口の動きというのがここ最近の特徴ではないかというふうに思います。関西でいうと、関西には4つの政令市がありますが、人口が増えているのは大阪だけで、神戸、京都、堺は人口が減少傾向にあります。そういうふうな全国的な人口の動向を考えれば、いきなり減少傾向をプラスに持っていくということはどこの都市も難しいだろうというふうに思います。

 もう1つは、神戸の事情を言うと、神戸の特徴は、ほとんどのエリアが開発されてきたということです。新たに開発しようとすると、開発を抑制している市街化調整区域を市街化区域に編入をして開発するということですが、これは人口が減少しているときに、山を削ってかつてのように宅地開発をするということが適切であるとは神戸市は考えてはきませんでした。また、東京や大阪などで進んでいるように、都心にタワーマンションを林立させて人口を増やしていくということも、これも持続可能性ということから考えれば適切ではないというふうに考えてきましたので、神戸市の人口減少をいかに食い止めるのかということについては、やはり相当思い切った知恵を出して、政策をしっかり組み立てていかなければいけないというふうに考えています。


記者:

 もう1点、先ほどの人口減少のグラフを拝見しますと、2011年から2020年にかけて2万人くらい減っていて、ここ3年でさらに2万人くらい減っていて、これだけ見ると若干減少幅に拍車がかかっているようにも見えるんですけれども、今後、挙げていただいた対策を実施する中で、どの程度減少幅を抑制できるというような見立てとか目標などがあれば教えてください。


久元市長:

 今のところ目標は立ててはいませんし、まさにそういう作業をこれからしなければいけないと思っております。

 それから、先ほど申し上げました基本構想、それから基本計画を立てる上では、やはり人口フレームというのをつくっていかなければならない。この人口フレームをつくっていく際に大事なのが、社人研の人口推計だけではなく、神戸市独自の人口推計を活用しながら、同時に、こういう政策を打つことによって人口減少幅をこういうふうに抑えていくというようなアプローチも、この検討作業の中には含まれることになるだろうというふうに思います。


記者:

 関連して、人口の部分で伺いたいと思います。市長は従来、大阪のベッドタウンとして神戸をつくるのではないというふうにおっしゃって、神戸のまちづくりに関して、三宮の再開発であるとか、いろいろ積極的につくられてきたかと思います。改めて、神戸のまちづくりとしての役割というか、周辺都市と比べたときの役割を教えてください。


久元市長:

 神戸の役割というのは、神戸に住んでいる神戸市民にとって、どうすれば住みよい、快適でわくわくするような、そういう神戸をつくっていくのかということです。神戸で働き続け、神戸で住み続け、神戸で学び続けることができるような、そういうまちにしていくということが、これは一番大事な役割だろうと思います。

 もう1つは、やはり関西全体が、東京圏に比べて、ここ相当長い期間、いわゆる地盤沈下してきたというふうに言われているわけですね。やはり関西全体を元気にしていく、関西経済というものをどう力強いものにしていくのかということは、これは大都市が競い合いながらも連携をして、関西経済全体が浮揚するように貢献していく。そういう意味からいうと、関西の3つの空港、この役割というのは非常に大事です。これは1つの例ですけれども、大阪・関西万博も行われますから、そういう中での関西圏全体に対して神戸が貢献をしていくということが非常に大事です。

 もう1つは、神戸市は阪神、それから東播磨、淡路も含めた圏域の県庁所在地であり、中心的な役割を果たしています。神戸市民に対してだけではなくて、周辺エリアに対しても雇用機会を提供する、あるいはまた高度医療を受ける機会を提供する、様々なアミューズメントやエンターテイメント、スポーツ、文化に親しむ機会を、この周辺の圏域も含めて、広域的な見地からしっかりと役割を果たしていく、圏域の中心都市としての役割をしっかり果たしていくということです。


記者:

 ちょっと関連、今のお話にもあったと思うんですけれど、周辺と比べて雇用をつくったり、レジャー施設としての役割という話からすると、あくまで住むというよりかは、そこで働いてもらって雇用を生み出してというような、オフィス誘致というところも兼ねていろいろ力を注いでこられた部分かと思うんですけども、そのあたりの評価はいかがでしょうか。


久元市長:

 居住機能を軽視するということではありません。むしろ戦前は阪神間に住んで大阪に働きに行くというのが1つのライフスタイルである、あるいは憧れであった時代がありますね。そういう時代の中から神戸を含む阪神間モダニズムの文化が生まれたという面もあります。今求められているのは居住都市としての魅力を高めるということと、あとは当然、経済都市、消費都市としての役割を果たすということ。非日常的な部分も含めた都市の魅力を内外に対してしっかり発信をしていく、そのような役割を果たしていくということが重要ではないかというふうに思います。


記者:

 人口減少について引き続きなんですけども、想定されたことというお話がありましたけども、市長になられて3期10年たって、どの段階からそういうことを考えられていたのか、その減少のスピード、150万を切るタイミングとしては想定より早かったのかどうかというところをお伺いできますでしょうか。


久元市長:

 実は市役所の中ではあまり認識されていなかったんですが、私が市長になりましたのが2013年、10年前ですけれども、程なく福岡が神戸の人口を抜きました。その後は、数年たてば川崎が神戸の人口を抜く。神戸と京都の人口は減少傾向をたどるだろうと思っておりましたので、大体そういう趨勢になっていると思います。ただ、正直、神戸の人口減少幅は、これは根拠があって言うわけではありませんが、そのとき想定していた人口減少幅、減少スピードを超えていると思います。

 それは、出生数が予想以上に減少したということです。これは神戸だけの問題ではなくて、我が国全体の出生数が非常に減少してきた。だからこそ、今、岸田内閣が異次元の少子化対策を打ち出しているのはまさにそうだと思うんですが、我が国全体が想定以上の少子化の道を歩んできたということだと思いますね。

 実は、今日2つのテーマを考えましたけれども、私の頭の中では、これは深く関わっています。子育て世帯に対する支援に関心が集まりがちな少子化対策は大変重要ですが、経済的理由でなかなか結婚できないということも大きな要因ではないかと見ております。いわゆる結婚適齢期の世代が経済的理由でなかなか結婚できない。あるいは、結婚しても子供を持つということに踏み切れない。そこはやはり賃金が上がっていないということと、それから社会保険料が増えて、実質の手取りも減っていく。ですから、有識者の間では語り尽くされているのかもしれないけれども、ここ20年ぐらいの賃金の動向を見れば、欧米諸国、オーストラリアも含めて、もちろんアジアの諸国もですが、賃金が大幅に増えているにもかかわらず、我が国は増えていない。そして増えていないだけではなくて、特に結婚適齢期の世代の賃金が増えていない。特に非正規の方々の賃金が増えていない。これは非常に大きな問題だと思います。

 これはやはりあらゆるセクションが賃金を上げるという強い決意を持って臨んでいかなければ達成できない話でして、そういう思いで、実は、最初のテーマと2番目のテーマは関連づけて対応しなければいけないと考えて提案させていただいているという次第です。


記者:

 三宮の都市開発を進めて、都市が大きくなっていく状態にあるわけですけども、それと人口減少との、都市が大きくなっていく中で人口が減っていくというのが、適正な規模になるのかどうかというところのお考えというのはどうでしょうか。


久元市長:

 三宮の再整備の大きな眼目は、やはり商業機能を都心に誘導していくことと、商業機能と居住機能が適切にバランスが取れたまちにしていくということです。

 さらに、三宮には6つの駅がありまして、交通の要衝であるわけですが、これらが、再開発を十分進められてこなかった結果、不便な動線になっていて、乗換えとか駅を降りてまちに出ていく行き方が非常に分かりにくく不便ということですね。この6つの駅を1つの駅として感じられるような、利便性と快適性を高めていくということが非常に大事です。これが、マーケットの動向に任せていると、往々にしてタワーマンションの適地になってしまいます。三宮の再開発の大きな眼目は、三宮近辺にはタワーマンションを造らせないということです。タワーマンションは容積率を大幅に減少することにして、神戸の都心でタワーマンションを造るというメリットは相当減少しました。現実に今ウォーターフロントで行われているタワーマンションが恐らく最後になるだろうと思います。 こういうまちづくりを取っている都市は、そんなに多くはありません。やはり神戸が目指すのは、目先の人口を増やすのではなくて、持続可能な、数十年たった後もそこに今その時点で住んでいる方々、あるいはさらに将来にそこに住むであろう人々に対しても誇ることができるようなまちづくりではないかと思います。

 いずれにしても、そういう形で、三宮近辺に高層タワーマンションが林立するのではなくて、北からも西からも東からも三宮に来ていただいて、そこでショッピングを楽しみ、グルメを楽しみ、アートシーンを楽しむことができるような、そんな神戸の玄関口にしていけたらいいなと思います。


記者:

 先ほどの明石の話も一部あったので、改めてお伺いしたいんですが、2012年以降、明石市に神戸市から移り住んでいる人口は、明石市から神戸市に来ている人数よりも多いというのがずっと10年ぐらい続いているかと思うんですが、明石市にある程度人が行ってしまっているというところは、どのような認識を持たれていますでしょうか。


久元市長:

 この前も明石、加古川に幾つかの施設を見に行ったことがありますが、改めて感じたのは、特に大久保の駅前などはどんどん人口が増えているし、まだ開発適地があるということですね。明石の人口増加というのは、開発適地がかなりあった、まだあるだろうということが一番大きな決め手ではないかと思います。

 もう1つは、便利だからということでしょうね。便利で、地価やあるいは家賃が安いということだと思います。これはもう歴然としていると思いますね。やはり便利で家賃が安く、地価が安ければ、そちらのほうに人口が移っていくのはある意味で当然のことだと思います。


記者:

 明石市は5つの無料化といって、子供の支援に力を入れていたりすると思うんですけども、開発以外の政策の部分に関してはいかがですか。


久元市長:

 ほとんど関係がないだろうと思います。


記者:

 それは、どのような理由からそのように。


久元市長:

 人口増の要因というのは、ほとんどそちらのほうで説明できるからですね。


記者:

 では、政策というよりは開発がまだ明石では行われていて、神戸のほうではある程度終わっている、一度終わったからというところが違いだと感じているということですか。


久元市長:

 そうだと思います。


記者:

 先ほどニュータウンとおっしゃっていたと思うんですけれども、今回の例えば人口流出が結構多いなと感じているニュータウン、具体的にどの辺りかというのを教えていただけますか。


久元市長:

 ニュータウンは、先ほど小学校区ごとの人口の動向が分かるようになったと言いましたから、そこは一つ一つ見ていけば分かる話ですね。ですから、それは地図上に落とせばかなり分かってくると思いますが、例えば西神ニュータウンの中でも人口がそんなに減っていないところ、あるいはむしろ増えているところと、人口がかなり減っているエリアがあります。こういうところをきめ細かく見ていって、必要な対策を取っていくということが重要だと思います。


記者:

 現時点で、ニュータウンというとかなり広いので、具体的にこの地域とかというのが、ある程度言えるところがあったら教えていただきたいんですが。


久元市長:

 先ほど申し上げましたように、西神中央それから名谷、西神南、学園都市にニュータウンが広がっていまして、そこは人口が増えているところもあれば、減っているところもある。総じて減っているところが大変多いですね。同時に、減り方とか、それから年齢別、年代別の動向というのもそれぞれ違いますから、ここがどうだというのはちょっとこの場ではなかなか申し上げにくいと思います。


記者:

 引き続き人口減の関係でお尋ねしたいんですけれども、神戸市さん独自で将来人口設計に着手しますと。これは1年ごとに出されていくことが可能ということですけれども、同様な取組をしている自治体はほかにあるのかなというのがちょっと気になりました。といいますのも、ほとんどの都道府県とかが将来の推計人口というのを調べるときに社人研の基礎データにしているのかなと思う中で、こういう取組をしているという自治体さんが神戸市さんとしてはかなり珍しいのかなというふうに思ったんですけど、その点、もし分かればいうのが1つと、もう1つ、社人研の将来推計人口について、5年ごとで5歳階級で打ち出されているというのは私も把握していたんですけど、確かにちょっと粗過ぎるのかなというのは同意見でして、やっぱり5年ごとにしか出ないことによって、将来的な政策を検討するのに何か不都合なことが実際にあったのであれば、そういったことも教えていただければと思いました。


職員:

 まず、ほかの自治体で、こういった1歳階級ごとの住基データを使った推計人口をやっているところがあるかということなんですけれども、我々調べたわけではありませんけれども、恐らくないのではないかなというふうに思います。なかなか自治体独自でやるということはかなり能力が要るということですので、我々初めてチャレンジをするというところですね。

 もう1つ、5歳階級ごとに5年ごとにやると、国勢調査に基づいてやるものと、1歳階級ごとに1年ごとにやるということで違いがかなり出てくると思います。そこは、出生数の話であったりとか、もしくは、そこにも書いております高齢者人口、団塊の世代をどう捉えるかというところで、やはり1歳階級ごとに1年ごとにやったほうが、そういった凸凹した人口ピラミッドというものを捉えやすいんじゃないかなというふうに考えています。

 これから推計のほうを行っていくわけなんですけれども、そういったことを踏まえて、しっかりとした推計、あと、有識者にも意見をもらいながら、適切に行っていきたいというふうに考えております。


記者:

 人口が今年中に150万人を切るというお話がありましたけれども、今の分析で見通せないところもあると思いますが、いつぐらいに切るというふうに見込まれているか、もし分かれば教えてください。


久元市長:

 いや、正直、まだ分かりません。切らないかもしれませんが、年内に切る可能性もかなりあるというふうに思います。


記者:

 分かりました。

 あと、ニュータウンの人口を増加させるために、駅前のリニューアルとか対策を行っているということがありましたけれども、王子公園とかに大学誘致の話もありますけれども、神戸市の年齢層のターゲットとしては、やっぱり学生であったりとか子育て世帯とかにターゲットを絞っているような感じなんでしょうか。


久元市長:

 どの辺の年代に政策としてターゲットを絞るという考え方は取ってはいません。あるいは、取るべきではないかもしれません。自治体が何か特定のタイプの人々、あるいは特定の年齢の人々をえり好みして政策を立てるということについては、私は躊躇を覚えます。やはり誰でもそれぞれのライフスタイル・ステージごとにどこかに住まなければいけないし、どのような方々も、やはり神戸に来ていただいたら、神戸でできるだけの行政サービスを展開し、そして、そこで快適に気持ちよく、神戸をついの住みかだと考えるような方々に対しては、それにふさわしい対応をしなければいけないだろうと思いますから、今のお答えに対して、この年代をターゲットにということについてはお答えするのは少々躊躇を覚えます。

 ただ、国全体を考えたときも、あるいは一定のエリアの圏域を考えたときも、もっと小さな地域社会を考えたときも、やはり社会が成り立つためには支えていただく方をできるだけ増やす必要があるかと思います。だからこそ、岸田内閣は異次元の少子化の戦略をつくろうとしていて、我が国全体を考えても、個々の大都市自治体を考えても、やはり支える側である若い世代をいかに増やす、あるいはできるだけ若い世代にたくさん来ていただくような政策というものを用意していくのかということがやはり大事だというふうに思います。


記者:

 ありがとうございます。

 最後に1点。さっき、グラフを見て、ニュータウンが減っているというところで駅前のリニューアルとかをされているということがありましたが、今後、1歳階級の分析が可能というところで、今後、分析を見ていって、どの年代がとか、そういうのを細かく分析していって、そこに合わせた対策をしていくというふうなお話でよろしいでしょうか。


久元市長:

 そうです。例えば1歳刻みに分析をすると、例えば3年後とか5年後とか10年後とかに、幼稚園、保育所、認定こども園が必要となるのか、あるいは小学校が必要になるのか。小学校が必要になるということは学童保育所が必要になるということですよね。そういうことがより細かく分かるようになるわけですね。そうすると、あらかじめ計画的にそういう施設整備が必要になってくるだろう。あるいは施設が余るだろう。余るとしたら、統廃合というものをどう進めるのかとか、利用転換をどう進めるのかということも可能になってくる。より適切な、様々な政策展開、これはハードだけではなくて、政策展開ができるようになることを意味すると思います。そういうチャレンジをしていきたいというふうに思います。


記者:

 次期総合計画の検討なんですけども、通常ルートだと、構想があって、計画があって、ビジョンということで、今回、ビジョンを改定されるという、どっちかというと逆方向になっていくような感じがするんですけども、これというのは、どんな影響が出たり、どういうことが変わっていくんでしょうか。


久元市長:

 なかなか厳しい質問。おっしゃるとおりなんですよ。理屈からいうと。理屈からいうとおっしゃるとおりなんですが、しかし、この基本構想というのは、よっぽど練りに練って考えていかなければいけないんですね。考え方からいうと、この基本構想というのが大本にあって、それに基づいて、より短期の計画を策定しているということなんです。ですから、この2025ビジョンというのは、当然、この基本構想や基本計画に即してつくられなければいけないものなんです。計画論的にいうとね。しかし、現実にはそうはなっていない。これは、とっくに、つくった後は大きく時代が変わっているわけですから。この2025ビジョンを2、3年前につくったときには、正直、この基本構想というのは私もほとんど見たことはありません。現実には、ここの中に当面の神戸市の政策方向を書いているわけで、しかも直近には神戸空港国際化という非常に大きな話があったから、2025年まではあと2年弱あるわけだから、そこまでにこういうことをやりますよということを2025ビジョンにしっかり書かないといけないだろうと。それが誠実な態度だろうというふうにまず考えたわけです。

 基本構想や基本計画というのは、これは、これをつくったとき、震災前ですから、震災前から30年程度にわたって我が国の社会や神戸も大きく外部環境が変わってきた中で、ここから先の長期の神戸というのはどうなっていくだろう、どうあるべきだ、どうするのがいいだろう、それにふさわしい神戸市政の方向性というのは何なのかということは、よっぽどこれはじっくり考えないといけない。そこで、まずは2025ビジョンを改訂して、その後、基本構想と基本計画は一体的に考えて、しっかり神戸の将来像を明確にしていこうということなんです。

 若干、理屈からいうとおかしいのはありますが、非常に長期にわたるものですから、現実の乖離というものが相当大きく出ている中で、現実的なアプローチをさせていただきたいということです。 


記者:

 そうすると、次期総合計画というのは、25年以降のお話ではなくて、コロナ禍のお話ということなんですか。


久元市長:

 すいません、2025年以降の話です。2026年から始まる次期総合計画について、これがどれぐらいのスパンになるか分からないけれども、これをつくるという作業、そして、恐らく10年から15年ぐらいの計画になると思いますが、これも一体的に作業しようということです。


記者:

 計画と構想については25年以降のお話だとは思うんですけども、市長が考えるタイムテーブルというのはどのあたりで考えていくという形なんでしょう。例えば、今年度中にビジョンとか、その次に、矢継ぎ早に計画、構想といくのか、その辺を教えていただければ。


久元市長:

 この2025ビジョンは、いつまでというのは言えないんですけれども、できるだけ早く、何か月か以内ぐらいのイメージで改訂します。基本構想・基本計画は議決が要りますから、これは議会ともよく相談をしながら策定作業を進めていきたいと思います。


記者:

 2025ビジョンには、人口動向や神戸空港の国際化などを入れ込むというふうにおっしゃっていましたけども、それを具体的に、これから検討するんでしょうけども、どういった形で入れ込んでいくのかという、この頭の中ではあるんでしょうか。


久元市長:

 当面考えられるものを、極端に言うと今すぐできそうなことです。今すぐできそうなものはここに入れ込むようにしたいと思いますが、それはそんなに多くはないだろうと思います。根本的に考えなきゃいけないのは、明らかに人口動向というのは変わってきたということですよね。

 人口が増えていった時代というのは、根本的に言うと住宅が足りない時代なんですよね。一定のエリアで人口が増えるということは、住宅を造っていかないといけない時代ですね。それはスピード感が求められます。雨露をしのがないといけない、スピード感を持って住宅を造っていかないといけない。だから、ニュータウン開発というのは物すごいスピードで行われたわけです。しかし、人口が減少局面に入るというのは、住宅というのはそのままで人がいなくなっていくということですよね。人がいなくなっていくスピードというのはすごく緩慢です。それは特定のエリアに起きるのではなくて、穴が空くように、小さな穴が空くように広範なエリアで起きていくわけです。ニュータウンにおいてはそういうことが幅広く、現に起きてきている。増えているところもありますし、元気なところももちろんありますよ。しかし、そういうことが起きてきている。ですからこれは町のありようというものが、つまり人間と空間の関係というものが根本的に変わったということです。

 ですから、これをつくるときには、まさにそういう時代というのが、我が国の人口が増加に転じる可能性はありませんよ、ほとんど、しばらく。そういうことを考えれば、基本構想をつくったときの価値観とか、外部環境とか、あるいは政策の大きな方向性というものと、今度、この2026年以降の基本構想をつくるときの価値観や方向性、外部環境というのは全く違っているわけですから、相当じっくり、何をすべきなのかということを考えてつくらないといけない。そのことを前提として、先ほど申し上げた人口の減少幅というものを、どう食い止め、どう最小限にし、そして人口減少時代に適応した政策というのは何なのかということを、そのことを前提にして盛り込んでいく作業というのをしっかりやっていくということです。ですからこれは当然、この作業は今年に終わることではありません。恐らく来年いっぱいぐらい。いっぱいかどうかは分かりませんが、やっていかなかいけないということですね。


記者:

 すみません、もしかしたらどこかで言ってくださっていたかもしれないんですけども、この小学校区ごとの将来推計人口というのを、多分出してから、今後どういうふうに、その地域ごとで対策をしていくかというのを考えていくと思うんですが、将来推計人口はいつまでに出し終わるとかというめどは立っているんでしょうか。


職員:

 政策検討のための独自の将来推計人口ですけれども、大体、2月とか3月ぐらいを目標に作業を進めていきたいと考えております。


記者:

 それ以降に、今後の具体策を検討していくという。


職員:

 恐らく同時並行で考えていくことになるのだろうと思います。


記者:

 同時並行というのは、もう小学校区ごとに出たところから順次というふうなことですか。


職員:

 そうですね。将来推計人口というのは速報みたいな形で、できたものから政策検討部門で活用していくということは可能だと考えております。推計結果を区単位で公表するのが2月、3月ということを考えています。


久元市長:

 政策というのは、こういう1年ごと1歳階級の人口推計をやるという自治体はほとんどないと思いますけれども、神戸も含めてどこの自治体も、ここまでやらなくても、大体、神戸全体はこうなるだろう、北区はこんな方向になるだろう、あの辺は大体こんなふうになるだろうという見通しみたいなものは当然立てるわけです。その見通しのもとにいろんな政策を、現にいろいろな、ありとあらゆることを神戸市はやっていますのでね、それは当然、それに基づいた政策というのは当然用意をしていきます。

 でも、それだけではもう不十分だと、大きく見通しが狂う可能性もあるし、施設は造ってみたけれども、非常に利用率が低いということもあるだろうから、そういうことを、特に資源制約の強い時代は無駄なことにならないように、的確な政策ができるように、その前提として、こういう独自の将来人口推計を小学校区ごとにしっかり行って、それに基づいて、科学的エビデンスに基づく政策を展開していこうということです。

質疑応答(発表項目以外)

記者:

 先ほどの人口減少のお話の中で、異次元の少子化対策のお話があったのでお伺いしたいんですけど、政府は異次元の少子化対策の財源を社会保険料の引上げで賄うことを、今念頭にというような報道がありますけど、まず、この社会保険料の引上げを財源に充てることについてお考えをお聞かせください。


久元市長:

 これは政府として、これは非常に難しい問題ですから、政府においていろんな選択肢をできるだけ明確な形で用意をして、提示をしていただきたいと思いますけれども、やはりいずれにしても、今の給付水準を下げない、むしろ充実させるということであれば、財源を見つけてこないといけないわけですから、社会保険料を引き上げるということなんですね。これはもちろん、関係者の理解が相当いると思いますから、何に充てるのか、そしてどういう方法で、この社会保険料といってもいろんな種類のものがありますし、それぞれの社会保険料の種類ごとに、社会保険料の算定方法もいろいろと細かく決められていますから、どういう方法でやるのかということをしっかり説明して、いずれにしても、新しく財源を調達していく、見いだしていくということは不可欠ですから、やはりいろいろな可能性をしっかり見いだしていく、そのための検討を行って、しっかりと議論をしていただきたいと思います。


記者:

 分かりました。ありがとうございます。

 もう1点、昨日市長、ウクライナの代表団の方と会談されましたけど、まず、その会談されて、お話しされた受け止めと、あと、ウクライナ側からは自治体レベルでの協力をという呼びかけもありましたけども、そのあたり、神戸市としてウクライナの自治体とどのように今後協力していきたいかなど、お聞かせください。


久元市長:

 そうですね、昨日お話があったのは、政府全体の復興・発展を考える実務的な責任者の方、それから、ウクライナ南部の港湾都市の副市長からのお話がメインだったと思います。

 いずれにしても、昨日いろんな要請をいただきましたので、そして、神戸の戦災からの復興、震災からの復興についても非常に強く関心を持っていただいて、意見交換が行われたというふうに思いますから、そういう意見交換を続けていきたいと思います。

 あと、具体的な支援方法については、昨日も申し上げましたけれども、やはり両国間で大きな方向性としてどういう手法を使うのか。これはJICAも非常に大きな役割を果たされると思いますが、よくその方面とも連携をしながら、具体的な神戸市としての関わり方というのを議論していきたいというふうに思います。

 いずれにしても、神戸市としては、とにかくできることをしっかりやらせていただきたいというふうに思いますし、行政だけではなくて、神戸はもともと、この前もトルコに行かれた武庫川女子大学の先生方のお話も聞きましたし、そのときには神戸市の部長も行っておりましたから、幅広いレベルでウクライナの復興支援についての動きが神戸からもぜひ広がっていくように神戸市としても対応していきたいというふうに思います。


記者:

 18年前のいじめの件についてなんですが、今月12日に被害に遭っていた男性と父親から要望書が市長宛てに出ていたと思います。それについて市長室が内容を確認させていただいて対応を検討するとなっていましたが、そこに要望が2点ありましたので、私からも2点質問させていただきます。

 1つ目の要望が、当時の教育関係者の直接面談を求めるというものだったんですが、現在、教育委員会側、まずは窓口の児童生徒課と面談させてくださいというような回答で、今、終わっているところですが、そこに対しては市長からどのように呼びかけていくとか、対応というのは今のところ決まっていたりするのでしょうか。


久元市長:

 その要望を受けた後、これは昨日でしたでしょうか、おとといでしたでしょうか、議会でも議論が行われて、教育委員会としての考え方も示されておりますから、要望が行われたときから見ると、状況も変わってきているのではないかというふうに思います。まずは、まずはというか、これは教育委員会の所管ですから、教育委員会のほうでしっかりと、議会でも様々な御指摘もいただいたと思うので、そのことを前提に対応していってもらいたいというふうに思います。


記者:

 もう1点なんですけども、この要望書を市長に提出した彼ら2人の背景というのが、これまでいじめについて隠蔽と呼ばれるようなことと見られても仕方のないようなことをずっとしてきていた教育委員会の教育長主導で委員会を変えていくのが難しいというような現状を思って市長に要望書を提出したということだったんですが、市長から教育委員会に何か働きかけていくというのは現時点ではあまり考えていないんでしょうか。


久元市長:

 要望された方がおっしゃっている、主張されている事実関係というものの時期というのが、大体この学校が事案を認知したのが2006年で、その後、市会への陳情などの審査が打ち切られたのが、2011年から議論が行われて、2019年に打ち切られたということですから、その前提となる事実というのはかなり前の話ですよね。

 教育委員会のいじめ事案への対応ということについては、私も相当大きな疑問を持ってきました。具体的に言うと、垂水区で中学生の女子生徒が自死した事案については、これは教育委員会所管ではありましたけれども、そのとき、これは、説明を受けたのはたしか2016年、2017年ぐらいだったと思いますけれども、教育委員会の説明は大変信用ができない、非常に疑問点がたくさんありました。

 その中で、そういう中で、教育委員会が設置した第三者委員会の報告に対して、御遺族の方は、これは不満なので市長で調査委員会をつくってほしいというお話があり、市長の下で調査委員会をつくりました。これは教育委員会が出した報告とはかなり内容が違うものでした。いじめの存在というものも認定をしたものでしたし、その対応の可否についてもかなり具体的なものでした。これにつきましては、私も御遺族の方とお話をして、市長の下につくられたものでしたから、私からも説明をいたしました。一連の対応を通じて、教育委員会の対応はかなり疑問が残るものでした。

 また、児童・生徒に対するいじめではありませんでしたけれども、教員間のハラスメントも、これも本当におぞましい事案で、どうしてこういうことが教育現場で起きるのかということについては、非常に激しい憤りを禁じ得ない状況でした。

 この体質をどう変えたらいいのかということについては、総合教育会議でも議論し、必要な対応も行われてきたというのが現在の状況だというふうに考えております。

 ですから、私としては、当然そういう事実を基に、また、市長の権限に属する事柄について、市長としての責任をしっかり果たしていくということだというふうに思っております。


記者:

 すみません、それに関連してもう1点だけ。

 その18年前のいじめがあった以降も、垂水などでそういった教育委員会の発言とか調査内容を信頼できないような発表が行われていて、18年前の時点で、もっと真摯に対応していれば、そういったことも起きなかったかもしれないですけども、今回の第三者委員会の2年以上にわたる調査報告を受けての教育委員会の受け止めというのを、市長自身が御覧になってどう感じましたか。


久元市長:

 これについては、特に議会答弁に対しての疑義ということもあって、まさにこれは教育も含む行政の在り方に対して、しっかりチェックして、監視機能を果たしていただくのが議会の役割だと思いますから、現実に委員会でもそういう議論が行われたというふうに思いますので、そういうような場で教育委員会の考え方をしっかりと説明して、それは公開で行われていると思いますから、そのことを通じて教育委員会の立場を明らかにしていっていただくということが大事だと思います。


記者:

 第三者委員会の報告を得て、いじめの存在は認めたものの、一部事実と異なるような点があるというようなお話を教育委員会の方はされていましたけども、そういった今回の説明や受け止めに対しては信頼におけるとは感じましたでしょうか。


久元市長:

 その点については、この前の委員会でも、それまでも教育委員会の説明とは異なる説明を教育委員会はされているというふうに思いますから、そのことを前提にして、議会の場でもしっかりと議論が行われるものではないかというふうに思います。


記者:

 すみません、先ほどの質問とかぶるところはあると思うんですけれども、18年前のいじめの件について、要望書の中で教育委員会の再生というところを書かれていたと思いますけれども、そこにおいて何か市長が働きかけるですとか動かれることというのはあるんでしょうか。


久元市長:

 これは、教育委員会の再生というのは、先ほど申し上げましたように、18年前のいじめが起きた後の、これはかなり前の事実を基にして教育委員会の問題をおっしゃっているということだと思いまして、それについては教育委員会の調査委員会で報告が出されているわけですから、これへの対応について教育委員会が明確な考え方をしっかり出して、そのことについては、これは議会の場でもしっかり議論をしていただくことが大事だと思います。


記者:

 生成AIについて伺いたいんですけれども、昨日、「富岳」を活用した国産の生成AIについての発表もありましたけれども、神戸は「富岳」、それからFOCUSスパコンと、スパコンに関しても医療産業都市としていろいろ誘致してきた過去があると思うんです。これに対して、今回の動きに対しての受け止め、期待であるとか、今後のスパコンを活用した動きについての期待感、今後の展望などあれば、御意見を伺えればと思います。


久元市長:

 ChatGPTを含む生成AIについての私自身の知識は限られるわけですけれども、この前、限られた時間ではありましたが、企画調整局のほうでChatGPTのデモンストレーションも行われ、改めてあのとき思ったのが、英語を主体に少なくともChatGPTは考えられていて、生成AIもやはり英語を主体として開発されてきたということを非常に強く感じました。

 ChatGPTを含む生成AIがどのようにリスクを含めてコントロールされ、個人の人権やプライバシー、あるいは著作権が侵害されないような形で利用されるようにするのかということについては、ルールについての議論が不可欠だと思います。しかし、生成AIが英語主体に考えられてきたということを考えれば、日本語を活用して、生成AIの利活用、あるいは生成AIそのものを開発していくということの取組が、やはり我が国の経済社会において求められるのではないかと思います。

 これはシミュレーションの繰り返しということになろうかと思いますから、世界で最高処理速度を誇るスーパーコンピューター「富岳」が活用されて、多くの非常に第一線の研究者あるいは大学が参加してこの研究が進められることについては非常に大きく期待しているところですし、スーパーコンピューター「富岳」はまさに神戸にあるわけですから、こういう研究が神戸を舞台にして行われることについては、大変これは歓迎したいと思います。


記者:

 あと、すみません、先ほどの会見項目に関連して1点追加で伺いたいんですけども、人口減の部分で、三宮の商流機能開発というところを、ある種、高めるために進めてきたというところがあると思うんですが、ここに関して、これまで約3年程度だと思うんですが、進捗であるとか評価に関して伺えればと思います。


久元市長:

 この間、三宮の再整備構想、都心の再生ということを発表したのがもう10年近く前になるわけですが、比較的順調に進んできていると思います。これからやろうとしている、当初、具体化しなければいけないような計画については、ほぼ計画も策定できたと思いますし、その一部は姿が見えてきました。

 ただ、この間、コロナもありましたし、資材の不足とか物価高騰、人件費の高騰や人手不足などがありましたけれども、決して予断は許しませんが、比較的順調に進められているのではないかと思います。今後、いろんな客観情勢を慎重に見極めながら、関係している民間事業者の皆さんとしっかり連携を密にして、非常に多種多様なプロジェクトが進められていますから、それらが互いにそごがないように、連携が取れた形で進められるように、全体のコーディネーター役も市として果たしていきたいと思っております。


記者:

 話が戻るんですが、18年前のいじめの件なんですけれども、一度、今までに内部調査は行われていると思うんですが、その中で公文書の扱いに対しての市教委の考えが出ていたりとかはしていて、その内部調査に関しては、その調査自体がまずちょっと不十分ではないかというふうなことを言われている部分はあるかと思うんですが、それを受けて、例えば市長直轄で内部調査を再度行うとかというふうなことは考えていらっしゃるんでしょうか。


久元市長:

 これは教育委員会が所管する分野の行政で、やはりこの点については様々な議論が議会でも行われ、そして、教育委員会として第三者委員会を設置して報告書が出たわけですよね。そういう報告が出たわけですから、この報告を踏まえて教育委員会がしっかり対応していくことが重要だと思います。


記者:

 前回の会見でもお話に上がったマイナンバーカードの件で、全国で、人為的ミスですとか、ひもづけですとか、違った方の住民票がコンビニから出てきてしまうみたいなお話がありますけれども、今のところ神戸市内でそういったトラブルの事例は報告されていないかどうか、あと、何かしら点検ですとか要望の対応というのは今の時点で予定されていないかどうか、お願いします。


久元市長:

 まず、マイナンバーについて、幾つか異なる、かつ重要な事象が起きていることは、やはり看過できないと思います。1つは、それぞれの保険者が、新しく加入の届出があり、そのときに健康保険証を発行する手続に入るわけですけれども、このときに間違ったマイナンバーとひもづけられていたということが全国で幾つか起きているということ、それから、これはごく最近出てきた話でしょうけれども、いろんな給付金を受け取る口座番号が間違っていた、間違った形でこれもひもづけられていたということと、それから、これは前も御質問が出ましたけど、マイナンバーカードで異なる方の証明書が発行されたというようなことですよね。こういうことが起きていることは非常に遺憾なことで、まずはその原因と対策がしっかり講じられなければいけないと思います。

 現時点では、いずれも神戸市内でというか、そこははっきり言えないんですけれども、少なくとも神戸市が関係している事案について、今の3つに関連したことが起きているという事実は把握しておりません。ただ、マイナ保険証のひもづけの問題は、これは神戸市で分からない部分もあるわけです、保険者ごとに違いますから。そこは、こういう実態について、内閣府なりあるいは厚生労働省のほうからマイナ保険証のひもづけについて改めて一斉に調査するという方針が打ち出されるのかどうか。報道ではそういう方針も伝えられていますから、実際にそういうような方針が出された場合には、神戸市としてはしっかり調査をしていきたいと思います。現時点で、今の3つの点について、神戸市として類似の事案が起きているというふうには確認はしておりません。

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