アスベストが使用されている建築物の解体工事を発注するのですが、発注者に義務はありますか?
法律で定められている発注者(施主)の義務は以下のとおりです。これらを実施しなかった場合は、罰則の対象となることがあります。
- 受注者(元請業者)が行う石綿の事前調査への協力(費用の負担、設計図書の提供など)
- 自治体への届出(発注者が提出する必要がある届出(※)に限る)
- 施工者に対して施工方法、工期、工事費など、法令を遵守して作業ができないような発注条件を付さないよう配慮すること
(※)発注者が提出する必要がある届出
(「吹付け石綿、石綿を含有する断熱材・保温材・耐火用の被覆材が使用されている建築物の除去作業」など)
アスベストの除去工事を行うときに、どんな飛散を防止する対策を行う必要があるのですか?
除去工事を行う時に、法令などに基づき必要な措置は以下のとおりです。
吹付け石綿、石綿を含有する断熱材・保温材・耐火用の被覆材の除去
負圧、隔離養生を行い除去(建材によっては原型撤去、グローブバッグ工法も可)
ケイ酸カルシウム板1種の除去
アスベストを含む建材を切断、破砕などを行うことなくそのまま建築物等から取り外すこと
そのまま建築物等から取り外すことが難しい場合は、作業場所を隔離(負圧は不要)。加えて、建材を常時湿潤な状態に保つか除じん性能を有する電動工具を使用すること
塗材の除去の場合
薬液などにより湿潤化するか、除じん性能を有する電動工具を使用すること
ディスクグラインダーまたはディスクサンダーを使用する場合は、隔離(負圧は不要)が必要
その他の非飛散性アスベスト含有建材の除去
アスベストを含む建材を切断、破砕などを行うことなくそのまま建築物等から取り外すこと
そのまま取り外すことが技術的に困難であったり、改修工事で性質的に適しないときに、切断等を伴う除去を行う場合は、湿潤化を行った上で手工具(バール、のこぎりなど)により除去を行うこと
手工具によることが技術的に困難で、電動工具を用いてアスベストを含む建材の切断等の作業を行う場合は、原則として除じん性能を有する電動工具を使用すること
やむを得ず除じん性能を有していない電動工具を用いる場合は、感電の防止措置を講じた上で、電動工具に可能な限り水が直接かからないように留意しつつ、切断面等に水を噴霧することにより石綿等を常時湿潤な状態にすること
アスベストの除去工事を行うときに、近隣説明を行う義務はないのですか?
近隣への説明は義務ではありませんが、周辺住民にお住まいの方を不安を解消し、良好な関係のもとで適切な工事ができるよう工事内容の周知などリスクコミュニケーションを図ってください。
また、リスクコミュニケーションを行うときは、環境省が作成したガイドラインを参考にしてください。
近隣の建築物が解体されるらしいのですが、アスベストが使用されていないか不安です。
解体工事や改修工事の施工者は、工事を行う建築物にアスベストを含む建材が使用されているかどうか、事前に調査を行い、その調査結果を工事現場に掲示する必要があります。
その掲示内容をご確認ください。
もし掲示板が設置されていない工事現場があれば、環境局環境保全課まで連絡してください。
近隣でアスベストの除去工事を行うらしいのですが、どのような工事を行うのか不安です。
解体工事や改修工の施工者はアスベストを除去する場合、アスベストの除去作業の内容を工事現場に掲示する必要があります。
その掲示内容をご確認ください。
もし掲示板の設置がない工事現場があれば、環境局環境保全課まで連絡してください。
石綿の事前調査の結果を報告する必要がある建築物の規模、報告の内容などを教えてください。
事前調査の結果は、電子システムで都道府県などに報告する必要があります。
報告の対象となる工事は以下のとおりです。
- 解体部分の延べ床面積が80平方メートル以上の建築物の解体工事
- 請負金額が税込100万円以上の建築物の解体工事
- 請負金額が税込100万円以上の特定の工作物の解体または改修工事
また、報告の内容は以下のとおりです。
- 工事の発注者、元請業者などの氏名・名称、住所、法人の場合は代表者の氏名
- 事前調査を終了した年月日、調査者の氏名、講習機関の名称、資格の区分
- 工事の場所、工事の名称と概要
- 工事を行う建築物などの工事に着手した年月日、工事を行う期間
- 工事を行う建築物などの概要
- 分析者の氏名、所属する機関・法人の名称、講習機関の名称
- 解体する床面積の合計、建材の種類、アスベストを含む建材の有無(ない場合はその根拠)
- 請負代金の合計額
石綿の事前調査の結果、アスベスト含有建材はありませんでした。元請業者は何もする必要はありませんか?
アスベスト含有建材が無い場合でも必要な作業は以下のとおりです。
- 調査結果の発注者への書面説明・写しの保存
- 事前調査の記録の作成・保存
- 事前調査の結果の掲示・記録の写しの備え付け
- 条例に基づく届出の提出(延床面積1000平方メートル以上の建築物の解体工事)
- 自治体への事前調査の結果の報告(一定規模を超える建築物などの解体・改修工事)
建材にアスベストが含有されているかわかりませんが、含有しているものとみなして除去してもよいですか?
全ての建材でアスベスト含有とみなしての除去することは可能です。
みなす場合は除去する建材の種類に応じた作業基準を遵守してください。
建材に触れない作業や釘の抜き差しなどの軽微な作業は、事前調査が必要ですか?
建材に触れない作業(例えば洗面台の取り換えなどの単なる取り換え工事)や、建材に軽微な損傷しか及ぼさない作業(釘を打つなど)は解体・改修工事に該当せず、事前調査は必要ありません。
軽微な損傷かどうかの判断は、その作業が「石綿が飛散する可能性がほとんどないと考えられる極めて軽微な損傷しか及ぼさない作業」であるか否かで判断して下さい。
なお、除去する建材が木材、金属、石またはガラスのみで構成されているもの、畳、電球など、アスベストが含まれていないことが明らかなものであれば事前調査は必要ありません。
解体工事や改修工事を行うときに、どんな届出を出せばよいですか?
必要な届出は以下のとおりです。
特定建設作業実施届出書
法律や条例で指定する地域(臨海部の工業専用地域、臨港地区などを除く地域)内で、特定建設作業を伴う解体・新築工事
(ただし、作業が1日で終了するものを除く)
特定工作物解体等工事実施届出
飛散性のアスベストを含む建材が使用されている建築物の解体・改修工事(特定粉じん排出等作業実施届出の提出が必要な工事を除く)
延床面積が1000平方メートル以上の建築物の解体工事
非飛散性のアスベストを含む建材が使用されており、延べ床面積が80平方メートル以上の建築物の解体工事
特定粉じん排出等作業実施届出
吹付け石綿、石綿を含有する断熱材・保温材・耐火用の被覆材の除去、封じ込め、囲い込みなどの作業
建設リサイクル届
延床面積が80平方メートル以上の建築物の解体
延床面積が500平方メートル以上の建築物の新築・増築工事
請負金額1億円(消費税込み)の建築物の修繕・模様替え(リフォーム)工事
請負金額500万円(消費税込み)の建築物ではないものの全ての工事(土木工事・工作物・電気や機械設備・プラントなど)
建築物除却届
床面積が10平方メートルを超える建築物を除却(解体)しようとする場合
解体工事や改修工事の届出は、神戸市のどこに行えばよいですか?場所はどこですか?
届出先は神戸市環境局環境保全課です。
市内全区どこの工事であっても届出先は下記の場所です。
〒651-0086
神戸市中央区磯上通7-1-5三宮プラザEAST2階
解体工事や改修工事の届出は、いつまでに行えばよいですか?
特定建設作業実施届出書
特定建設作業を行う日の8日前
特定工作物解体等工事実施届出
解体工事や改修工事を始める日の8日前
特定粉じん排出等作業実施届出
除去作業を行うための養生を開始する日の15日前
建設リサイクル届
解体工事や改修工事を始める日の7日前
建築物除却届
解体工事の開始前
アンカーボルト打ち、コア抜きなどアスベスト含有の壁に穴をあける予定です。届出は必要ですか?
改修工事の場合、届出の提出は不要です。
ただし、石綿の事前調査およびその結果の報告(対象の工事に限る)、作業基準の遵守などは行う必要があります。
石綿を含む塗材(下地含む)を除去する予定です。法律に基づく届出は必要ですか?
法律に基づく届出(特定粉じん排出等作業実施届出)の提出は不要です。
ただし、法律に定める作業基準を遵守して除去を行う必要があります。
石綿を含む仕上塗材を除去する場合には、どのような措置が必要になりますか?
石綿を含む仕上塗材を除去する場合に必要な措置は以下のとおりです。
- 薬液などにより湿潤化するか、除じん性能を有する電動工具を使用すること
- ディスクグラインダーまたはディスクサンダーを使用する場合は、除去を⾏う部分を事前に隔離養⽣(負圧不要)すること
- 除去後、作業場内を清掃すること
- 隔離養⽣(負圧不要)をした場合は、隔離養⽣を解く前に隔離養⽣の中の清掃、アスベストの処理を⾏うこと
⾼圧⽔洗⼯法、超⾳波ケレン⼯法などを⽤いる場合も、それぞれの作業現場の状況に応じて湿潤化に加えて隔離養⽣(負圧不要)を⾏ってください。
石綿を含む仕上塗材をディスクグラインダーまたはディスクサンダーで除去したいのですが、どのような措置が必要ですか?
必要な措置は以下のとおりです。
- 薬液などにより湿潤化するか、除じん性能を有する電動工具を使用すること
- 仕上塗材の除去を行う部分の周辺を事前に隔離養生(負圧不要)すること
養生を行ったときは、養生を解く前に、必ず作業場内の清掃を行ってください。
石綿を含む吹付けパーライトや吹付けバーミキュライト(ひる石)などは吹付材(レベル1)に該当しますか?それとも仕上塗材(レベル3)に該当しますか?
石綿を含む吹付けパーライトや吹付けバーミキュライトは、従来どおり「吹付材」(レベル1)に該当します。
石綿を含む仕上塗材とは吹付けパーライトや吹付けバーミキュライト以外のアスベストを含有する塗材(例:リシン吹付塗装など)をいいます。
石綿を含む仕上塗材を、塗材が施工されている母材と一体として除去する場合は、どのような措置が必要ですか?
石綿を含む成形板などを除去する場合と同様に原型撤去(手ばらし)が原則として、やむをえず切断・破砕する場合は薬液などによる湿潤化か、除じん性能を有する電動工具を使用する必要があります。
石綿を含む成形板に適用される作業基準に基づき除去を行ってください。
石綿を含む成形板にはどのようなものがありますか?
石綿含有の成形板は、吹付材・断熱材・保温材・耐火用の被覆材、塗材以外の建材を指します。
スレート瓦、波板スレート、ケイカル板1種、セメントボード、Pタイルなどが代表的な建材です。
石綿を含む成形板を除去するのですが、法律の届出は必要ですか?
法律上の届出が必要な建材は吹付け材、断熱材、保温材、耐火用の被覆材のため、届出不要です。
ただし延床面積が80平方メートル以上の解体工事の場合は、条例上の届出が必要です。
アスベストの除去を行うときは、届出の要・不要にかかわらず、作業計画を作成し、作業基準を遵守して除去を実施する必要があります。
石綿を含む成形板などを除去する場合には、どのような措置が必要になりますか?
石綿含有の成形板などを除去するときに必要な措置は以下のとおりです。
- 切断、破砕などをせずにそのまま建築物などから取り外す(固定具などを取り外す、⺟材と⼀体として取り外すなど)
- やむを得ず切断等を伴う除去を行う場合は、湿潤化を行った上で手工具(バール、のこぎりなど)により除去を行うこと。(原形のまま撤去することが技術的に困難(建材が⼤きい・重い、施⼯箇所が狭いなど)な場合や性質上適さない(改修工事など)ときなど)
- 手工具によることが技術的に困難で、電動工具を用いてアスベストを含む建材の切断等の作業を行う場合は、原則として除じん性能を有する電動工具を使用すること
- けい酸カルシウム板1種で、原形のまま撤去を行うことが技術上著しく困難なときや性質上適さないときは、周辺を事前に養生すること。さらに、建材を常時湿潤な状態に保つか除じん性能を有する電動工具を使用すること
- 除去後、清掃を行うこと
これらの⽅法は、同等以上の効果を有する別の措置を講じてもよいこととされています。(吹付け⽯綿を除去する場合の作業⽅法を採⽤するなど)
薬液などにより湿潤化するというのは、具体的にどのようなものを使用すればよいですか?
粉じん⾶散の抑制剤、飛散の防⽌用の処理剤、剥離剤などの薬液や⽔により湿潤化してください。
使⽤状況、⽬的にあわせて効果のあるものを選択してください。
石綿の除去工事を行う予定です。大気の環境測定は必要ですか?
義務ではありませんが、周辺にお住いの皆さんに安全に工事を行っていることを示すため、大気の環境測定を行うことが望ましいです。
石綿の除去工事を行う予定です。除去する全ての建材を分析する必要がありますか?
石綿が含まれているものと「みなし」て除去する場合、分析は必要ありません。ただし、みなして除去を行う場合でも、必ず事前調査を行う資格を有する者による調査の実施や除去する建材に応じた作業基準の遵守が必要がです。
建材に石綿が含有されているか確認するため、分析を依頼する予定です。分析方法に決まりはありますか?
建材に応じて、下記のJISに規定された分析法により分析を行う必要があります。
- JISA1481-1第1部:市販バルク材からの試料採取及び定性的判定方法
- JISA1481-2第2部:試料採取及びアスベスト含有の有無を判定するための定性分析方法
- JISA1481-3第3部:アスベスト含有率のX線回折定量分析方法
- JISA1481-4第4部:質量法及び顕微鏡法によるアスベストの定量分析方法
- JISA1481-5第5部:X線回折法によるアスベストの定量分析法(第1部の定性的判定方法を用いる場合の方法)
詳しい内容は、厚労省が作成したマニュアルを確認してください。
建材に石綿が含まれているか分析をするための資格要件はありますか?
分析調査を実施するための資格要件は、以下のとおりです。