ホーム > 区役所 > 灘区 > 区の紹介 > 区の魅力 > 灘区とコーラスのつながり > 灘フェスに参加する中で感じていること(2024年8月)

灘フェスに参加する中で感じていること(2024年8月)

最終更新日:2024年11月1日

ここから本文です。

「灘フェスに参加する中で感じていること」というお題をいただき、私のような者に何か書けることはあるのか?多方面に失礼がなければいいなあと思いながら…。

母校神戸高等学校合唱部は高校1年だった2000年夏より、長峰中学校コーラス部は(今回出演しませんが)部活動指導員・部活動顧問として十数年目のお付き合いとなりました。神戸中央合唱団は2015年に機会をいただいてから10回目の秋を迎えようとしております。各団体のピアニストとして、幅広い年代の方々と演奏したり、指導のお供をさせていただくうちに、より広がりをもった地域での活動が可能となってきました。この場をお借りして御礼申し上げます。

音楽における合唱の魅力は、2人以上〜際限なく大勢で演奏できることと、言語を伴う音楽芸術であることだと認識しています。

ピアニストに憧れを持ち始めた小学校低学年の頃、シューマンという作曲家の教則本に、「前略…もし、よく響く声を持っていたら、天が与えた最も美しい贈物と考えて、さっそくそれを仕上げなさい」と書いてあるのを見て、ピアノ(器楽)はNO.1ではないの!?と驚愕したのを覚えています。

2019年夏、某児童合唱団とエストニアの音楽祭に参加しました。ご存じの方もおられるかとは思いますが、多いときには何十万人という人々が集う大きな合唱と踊りのフェスティバルです。とりわけ文化・故郷(祖国)・母国語を失った人たちにとっての合唱曲の役割は、想像を遥かに超えたものでした。エストニア語の作品が演奏され、愛され続けるさまを心で受け止める体験は、当時の私に大きな影響を与えました。その結果、私自身も彼らのそれと同等に価値のある芸術を持っていることに気付き、他の言語の作品に触れることは、知られざる歴史に目を向けるきっかけとなりました。

日本の合唱作品は、この四半世紀、どんどん進化しています。世界的に見れば、ア・カペラ作品は、伴奏楽器を伴うものよりはるかに多いと聞いています。日本語の合唱作品の大半は、言葉の語感を生かしながら、ピアノをはじめとしたアンサンブル楽器とともに演奏する形態で成立しています。作品の中でのそれらの役割はとても大きいものです。

年齢に関わらず困難の多い現代社会で、歌うという活動に意義を感じて、今日この場所に居合わせてくださっている全ての存在に奮い立たされる思いです。ステージで輝きを放つ方々をご覧になって、私がそうであったように、合唱や音楽の世界に入り込むきっかけを、ここから掴んでくださる方がおられましたら本望です。あらゆる世代の人たちが芸術のもとに集う…とりわけ地域に根付いた活動こそ途絶えぬよう、後押しできる文化を育み続ける地域・街として長く存続するよう、私も心を込めて演奏を続けていきたいものです。

(ピアニスト・内藤典子)

お問い合わせ先

灘区総務部地域協働課