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最終更新日:2024年4月18日
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神戸市では、子どもの疾病の早期発見・早期治療、また子育て世帯の経済的支援の観点から、こども医療費助成を段階的に拡充してきました。現在、外来では3歳から高校3年生までは所得制限なく1医療機関等ごとに1日最大400円、同月内で3回目以降は無料(2歳以下はすべて無料)です。
神戸市で最小限の窓口負担をお願いし、完全に無料化しない理由は次のとおりです。
窓口負担のあり方については、2016年に「子育て施策に関する有識者会議」を開催し議論いただきました。このなかで、外来受診まで無料になる「完全無料化」で、“いわゆるコンビニ受診”を誘発し受診件数や医療費の増加が懸念されることから、将来にも持続可能な制度として維持していくため、一定の自己負担は残すべきとの意見が示されました。
近年の経済学の研究でも、物やサービスの価格を無料にした場合と、ごく僅かな金額を頂くケースとでは、無料のほうが需要を大きく増やす可能性を指摘されています。
神戸市には先端医療や高度な専門医療病院が集積していますが、窓口負担を完全に無料化することで過剰受診による医療費の増大を招く恐れがあります。また、多忙を極める医療現場の一層の疲弊、さらには重症患者や救急患者など、真に医療を必要としている患者への対応に影響が出ることも懸念されます。
医療費は、窓口で支払う自己負担のほかに、国・県・市からの公費や健康保険加入者の保険料で賄う仕組みとなっています。近年、一人当たりの国民医療費は増加傾向となっており、その中でも特に0~14歳の伸び率が高くなっています。窓口負担が僅少であるこども医療費が増加し、国等からの公費が一定である場合には、保険料負担が必然的に増加することになります。
これにより、今後、給与水準の引き上げが見込まれるなかでも、保険料負担の増加により、結果として可処分所得の伸びが抑制される、もしくはマイナスとなる恐れもあります。
こども医療費助成のような「経常的経費」はその年度の市税収入等で賄うのが原則です。しかしながら、現状、国が交付する地方交付税の財源不足へ対処するために発行する「臨時財政対策債」等により、将来世代へ負担を先送りしています。
近年、日本の出生数は減少し続けており、2023年には75.8万人と統計開始以来、過去最少となりました。減り続ける現役世代への負担は、今後一層大きくのしかかる恐れがあります。
子どもの医療に関する負担感を軽減するために、神戸市では既に多額の財源を投じています。完全に無料化することは、このように弊害が大きく、神戸市としては多額の追加財源を振り向けるのではなく、現在の住民に低額の負担をいただくことで「持続可能な制度」とし、未来を担う子どもたちの将来負担を軽減していきたいと考えています。