最終更新日:2023年10月12日
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・“渋滞”を“避けて”移動しませんか?
-交通状況ライブ配信を開始します-
会見資料はこちら
司会:
それでは、ただいまより10月1回目の市長定例会見を始めさせていただきます。
市長、よろしくお願いします。
久元市長:
よろしくお願いいたします。
今日お話を申し上げたい案件は交通状況ライブ配信、有馬街道で行う配信の状況ですが、その前に、資料は特に用意しておりませんけれども、神戸市の人口動向についてお話をしたいと思います。
以前から神戸市は人口減少傾向にありまして、150万人という区切り、これを今年中に割り込む可能性が高いというふうにお話をしてきましたが、今月10月1日時点の推計人口は149万9,887人になりました。9月1日時点が150万693人でしたので、前月比で806人減ということになりました。これは少子高齢化の進展によります自然減の傾向が継続しているということが大きな要因であろうと、全国的な傾向と軌を一にしているというふうに思います。
今求められていることは、この人口減少幅を神戸市としてもいかに抑制をするかということ、そして、人口減少時代にほとんどの自治体が直面しているし、我が国も直面をしているわけですから、この人口減少時代にふさわしいまちづくりをどう進めるのかということが大事であるというふうに考えております。従来からこのように考えてきました。今後ともそのような考え方で神戸のまちづくり、様々な施策を推進していきたいと考えております。
それでは、今日のテーマであります有馬街道における交通状況の配信につきまして、御説明を申し上げます。
有馬街道は古くから神戸の、港町神戸から有馬温泉に向かう街道で、大変親しまれてきた道です。現在では市街地と神戸市の北部、北区を結ぶ主要な幹線道路になっております。延長は約28キロです。
この有馬街道はずっと相当前から、数十年ぐらい前からと言っていいかもしれませんが、私も子供のときからよく知っておりますが、この有馬街道については慢性的な渋滞が発生してきました。特に谷上駅と、それから箕谷ランプ、この近くに皆森の交差点という交差点があるわけですけれども、ここの皆森の交差点、それから谷上の交差点、それから水呑の交差点、それから、市街地になりますけれども平野の交差点、こういうところで渋滞が発生をしてきたわけです。
そして、今回は緑色で薄く塗っている部分で交通渋滞状況についての配信をしたいというふうに考えております。もちろん有馬街道は従来から渋滞してきましたので、これまでも神戸市としてはハード、ソフト両面にわたる渋滞対策を進めてきました。特に谷上駅ですが、これは北神急行電鉄、これは神戸市が市営地下鉄として買収いたしまして、今は西神・山手線、北神線ということになっているわけですが、これを料金を大幅に値下げしまして、ここに向かう車、バスなどが利便性を確保しなければいけないということで、渋滞対策の工事を行ってきたわけです。ハード対策といたしましては、そういう観点からも含めて、芝床という、この図では分かりにくいんですけれども、芝床という交差点から谷上の間、東行き2車線化工事の第1期工事といたしまして、2022年、去年の6月に供用を開始いたしました。
2期工事といたしましては、皆森・芝床間、ここを2023年3月に工事に着手いたしまして、今年中に供用開始をする予定です。ハード対策もかなり行ってきました。それ以外のところもトンネルの整備など、いろんな対策をほかの区間でも行ってきております。
もう1つはソフト対策です。有馬街道と並行して阪神高速北神戸線が走っておりまして、これはもちろん有料で、有馬街道は無料ですから、有馬街道から阪神高速北神戸線に転換をさせることができないかということで、これは国交省などとも相談をいたしまして、今年の4月から来年の3月まで約1年間、この料金を実験として引き下げるという料金の一時的な値下げを行っております。こういうような値下げによりまして、阪神高速北神戸線に有馬街道から誘導させたいということです。これは今、実験中であります。
こういうふうにハード、ソフトの対応をしたわけですけれども、まだ渋滞の箇所がありますから、ソフト施策の追加といたしまして新たに行いたいと思っておりますのが交通状況のライブ配信です。この先ほど申し上げました皆森の交差点、今、先ほど申し上げたのが、ここが皆森の交差点、ここが芝床の交差点、谷上駅、これは久保交差点というところです。この辺で渋滞が発生をしておりますので、ここに4か所のカメラを配置いたしまして、そして、ここのカメラで映る道路の渋滞状況を配信しようというものです。そのことによりまして、ドライバーの皆さんに別のルートを取っていただく、経路を変更していただく、あるいは出発時間を変更していただくというような対応を行って渋滞を緩和させることができないか、こういう1つの実験です。
もう1つは、これで撮影された画像をAIを用いまして解析をいたしまして、交通量、それから車種などを解析する。そして、解析を行って阪神高速北神戸線の料金引下げの効果などがうまく出ているかどうかということも解析をすると。こういう実験を行うということにしております。10月13日から来年の3月まで行うこととしております。
例えばこれによって、ライブ配信で渋滞を見ると、これを、今は唐櫃インターチェンジから箕谷ランプまで有馬街道で行って、そして箕谷ランプから阪神高速新神戸トンネルで三宮に出るということを毎日というか、しょっちゅう使っている方がこのカメラを見て、有馬街道が渋滞をすると、これは唐櫃インターチェンジから有馬街道ではなくて、阪神高速北神戸線に乗って三宮に行くと約15分短縮できますよ、あるいはピーク時間帯を約10分間ずらすと、より便利になりますよと。こういうような路線変更とか出発時間の変更を行うことができるのではないかと、そういうことを期待しながら実験をするということです。そうすると、肝心のライブ画像というのはどういうものなのかということについては、動画でちょっと御覧いただければと思います。
職員:
このようにURLでありました二次元バーコードでアクセスいただきますと、こういったウェブサイトにつながってまいります。こういった映像を皆さん御覧いただきまして、こういう交差点をタッチいただくことで、その交差点のリアルな交通状況を映像として御覧いただくことができます。
例えばこれが皆森という交差点から西側を望んでいる映像ですけれども、まさにこれが現在の状況でございます。こういった画像を皆様に出発前だったり、御覧いただいて、交通状況を見ていただきながら、手段であったり時間を考えていただきたいなというふうに思っております。
久元市長:
これ、リアルなんですよね。これは今の状況。
職員:
はい。これはまさに現在の状況です。
久元市長:
ですから、これはアプリではなくてネットで、インターネットでこの画像をリアルタイムで御覧いただけるという内容です。そういう実験を開始するということにしています。
私からは以上です。
記者:
冒頭御発言いただいた人口の部分に関して幾つかお伺いしたいんですけれども、以前にも今年中に150万人を割り込む可能性が高いということではあったんですが、改めてこの2023年の10月というタイミングで150万人を切ったということについてのお受け止めというのはいかがですか。
久元市長:
これは予想していたことです。受け止め方としましては、全国的な人口の減少傾向と神戸市の人口減少傾向とは、これはほとんど軌を一にしているということではないかなと思います。全国と神戸の人口動向を比較すると、全国の人口は2008年をピークに減少に入りました。神戸の人口減少幅、人口減少は2011年がピークで、そして減少してきて、今回150万人を割ったということです。傾向は非常に似ています。
それから、人口減少の大きな原因が自然減だということです。神戸の人口動態、昨年は若干の社会増でしたけれども、人口減の大部分は自然減で説明できるわけです。神戸市の昨年の人口、自然減を見ると、出生数が9,200人で死亡数が1万8,400人、倍ですね。亡くなる方が倍。これは全国傾向とほぼ同じです。ですから、全国傾向と軌を一にしているということです。
ですから、この問題というのは神戸に特有の問題ではなくて、全国に共通した我が国が抱えている問題で、これはそういうような問題意識で神戸市も、さっき冒頭申し上げましたが、人口減少幅をいかに少なくするか、抑制するかということと、これから人口減少幅は全国ベースでは拡大していくことになりますから、人口減少時代にふさわしい政策展開というものをどのように行っていくのかということが問われる、我々に問われているというふうに受け止めています。
記者:
時期として、以前会見でお話しいただいていたときに、市長に就任されたときの想定よりはちょっとスピード速いかなという御発言もあったかと思うんですけど、今の時点ではその辺り、スピード感というのはいかがですか。
久元市長:
早いと思います。その大きな原因は、予想以上に自然減が進んでいる。我が国全体でも進んでいるし、神戸でも進んでいるということで、ペースが早まった原因は、出生数のやっぱり大幅な低下ですよね。これが、我が国全体においても神戸においても起きているということが、ペースが早まった大きな要因だというふうに思います。
記者:
あともう1点、今グラフ出ていると思うんですけど、神戸の150万人という数字をどう見るかというところで、人口の増減のところで、震災というのが1つ大きなポイントになっていたと思うんですけれども、これ、震災後に一旦140万人台にぐっと落ち込んでいたと思うんですけど、今回その150万人を切ったというのは、原因は全然違うとは思うんですけど、その震災後のインパクトというのにある種似ているというふうに捉えてもいいのか、その辺りはいかがですか。
久元市長:
震災による人口の急減は、これはまさに震災を直接的な要因とした人口減ですが、今回は長期間にわたって続く傾向ですから、その人口減の要因は全く違っているというふうに思います。震災直後は、人口がかなり減りましたけれども、その後の復旧、復興によりまして、人口は回復をしました。今回は、神戸が再び人口増に転換するという可能性はほとんどないのではないかというふうに思います。ですから、この長く続く人口減少という局面の中で、我々が息長く、先ほど申し上げたような対応を、様々な有効な政策を立案し、展開し実施をしていくと。そういう想像力と、あとは強い意思を持って、我々神戸市政にあずかるものは対応していかなければいけないというふうに思います。
記者:
引き続き人口問題についてお伺いします。先ほど減少幅を抑えていかなければならないと言及ありましたけれども、減少幅を抑えるために神戸市でどのようなことを重視されていくか、改めてお願いします。
久元市長:
減少幅を抑える上で、先ほど全国と共通しているというふうに申し上げましたけれども、神戸に特有の事情というのがあります。もう1つ、その前に指定都市の中の人口の動向を御覧いただければと思いますが、20の政令指定都市の中で、人口が増えているのは8市ですね。この8市のうち、8市は東京圏の市と、それから圏域の中心市、福岡市、大阪市、仙台市、名古屋市などですね。これらが圏域の中心市です。圏域の中心市以外の、東京圏ではない、地方圏の圏域の中心市ではない市は全て人口が減っています。神戸もそうですし、関西圏でも大阪だけが増えていて、京都、神戸、堺は人口が減少しているということですね。ですから、まず全国的傾向として、東京圏への一極集中をどのように我が国全体の地域振興策として抑えていくのかということと、それから圏域ないの中心都市への集中傾向というのをどう考えるのか。やはり圏域以外の都市も、独自の地域活性化策をしっかりやっていかなければいけないということを感じます。
もう1つは、神戸特有の事情というのは3つあると思うんですけれども、1つは、神戸は戦争で壊滅的被害を受けて、戦前は100万都市だったんですけれども、38万人程度まで人口が減ったというふうに言われていまして、戦後、急激に復員とか人口が戻ってきたとき、これで無秩序な開発が進みました。山麓部の無秩序な開発が進んだわけです。特に兵庫区、長田区、須磨区、垂水区の山麓部が、昭和40年代の前半に都市計画法による線引きが行われて、市街化区域と市街化調整区域の計画的な市街地整備の方針が出るまでは、無秩序な開発が続いたということです。ここは非常に災害危険度も高く、道路も整備されていないところに立地した住宅が密集していたわけですけれども、ここからかなりの人口が、これが空き家になって、かなりの人口が流出をしているということですね。
もう1つは、そういう神戸の山が海に迫っていて、山麓部が無秩序に開発されている状況を考えて、神戸市は1960年代からニュータウンの建設を計画的に行いました。このニュータウンが現在オールドタウン化しておりまして、このニュータウンからも人口の流出が続いていると。これはダブルで人口が流出しているということですね。
それから、もう1つは全国的に人口が増えているところ、全てとは言いませんけれども、高層タワーマンションがどんどん建っているところが、人口が増えているということですね。神戸市は高層タワーマンションを抑制するという政策を取っていますから、目先の人口はタワマンでは増えないということになります。これからの対応といたしましては、空き家・空き地対策、これを神戸市は強力に進めております。これはいろんな施策を打っていますから、これをさらに、新しい観点も加えながら行っていきます。使える空き家は有効に使う。建築家に参加してもらった空き家の活用などを行っていますし、それから、老朽危険家屋は、思い切って解体撤去する。今日も、非常に危険な老朽危険家屋の解体代執行、これ、代執行というのは非常にハードルが高いんですが、神戸市はこれをかなり行ってきました。今日も2件行うことにしております。こういうふうに、空き家・空き地対策ということが非常に重要ですね。
その一方で、高層タワーマンションは正直持続可能ではないというふうに思います。数十年するとこれは廃墟化する可能性があって、我が国の大都市においては極めて深刻な問題が生じます。やはり神戸市としては目先の人口増を追うのではなくて、持続可能な大都市経営を目指すということから考えたときに、高層タワーマンションの建設抑制ということは続けたい。人口がもうとっくに減っていて、大量の空き家が存在している中で新築住宅を造り続けると、その典型が高層タワーマンションですけれども、これが我が国のまちづくり、住宅政策として正しいとは私には到底思えません。そういう意味からいいますと、この人口減少時代の中でこそ、持続可能性ということを考えたまちづくりということをこれから進めて、そのことによって目先の人口を増やすのではなくて、長い目で見た人口の抑制幅を抑えていくという観点からのまちづくりを心がけたいと思います。
記者:
もう1点、すみません。先ほど出生数の大幅な低下というのが、想像以上に150万人を割るのが早かったところだと思うんですけれども、子育て支援ですとか、そこの取り組みはこれからどういうふうに力を入れていかれるのかお願いします。
久元市長:
1つは、子育て世代に対する支援ということをしっかり行っていかなければいけない。神戸市はこれ、相当取り組んできました。いろんな政策をやってきましたけれども、その一例を挙げれば、保育所で働く人材の確保ということで、6つのいいねという、これは全国的に見てもトップレベルの政策で行ってきた結果、待機児童も、去年の4月に待機児童ゼロになっております。こういう子育て世帯に対する支援策ということをしっかりやっていかなければなりません。
もう1つは、出生数が上がっていくためには女性が結婚をし、子供を産んでいただく社会環境というのをつくっていかなければいけないわけですね。女性が結婚するかしないか、子供を産むか産まないかというのはお一人お一人の女性の判断ですけれども、全体としてそういう傾向が生まれ、それが拡大するような社会環境というのをつくっていかなければいけません。これも我が国全体が当面する課題ですが、神戸の場合には、1つには女性の就業率が全国平均に比べて若干低いという問題があります。女性が働きやすい、もっと働いていただくような、働きたいと思えるような環境をつくっていく。このための政策は、例えば廃園になった幼稚園で、女性が主として働いていただくような働き場所をつくるという取り組み、これは郊外で、名谷などで行っています。それから女性が、子供さん、小さい子供さんもお連れいただいて、そして、ネットやタブレットに向かって仕事をするような場所も用意をしました。ただ、これがまだ十分なボリューム感のある政策にはなっていないと思います。ここは行政だけでなかなか解決できない問題ですから、特に企業とどうコラボして女性の就業率を上げ、そして、働きながら出産をし、子育てをする環境というものを、これを企業の皆さんとコラボをして、そういう環境をいかにつくっていくのかということ、こういう政策展開はまだまだ十分ではないと感じておりまして、これは今後の重点的な政策の中に据えていきたいというふうに思っています。
記者:
最後にもう1点、先ほどあった女性の働く就業率が、全国的に神戸が低いというところで、具体的なデータ、全国の都道府県のランキングなどありましたら教えてください。
久元市長:
後ほど提供させていただきます。
記者:
ライブカメラのほうで御質問させていただきます。こういう一般道にライブカメラを設置して配信するという取り組みというのは、自治体としてどれぐらい珍しいのかというところをちょっと1つお伺いしたいです。
職員:
こういう形で道路管理者である自治体が道路の状況の映像を配信するというのは、全ての自治体を調べたわけではないんですけれども、こういうのは少なくとも見たことはないという状況でございます。あんまりない取り組みではないかなというふうに考えております。
記者:
あまりないというのは、何かどういう観点からされない、する意味があんまり浸透していないのか、あるいはやりにくい事情があるのかというところは分かりますでしょうか。
職員:
恐らく、道路管理者自身がこういうソフト対策でもって渋滞を緩和させようというの、これまでハード対策として、交差点の改良ですとか、道路の拡幅とか、そういう取り組みはやっているんですけれども、ドライバーの行動に働きかけてというような、こういうソフトの取り組みを道路管理者である自治体自体が実施するというのがあまりないというのが1つの要因かなというふうに思っております。
記者:
あと、実際、有馬街道、渋滞にはまったこともあるんですけども、ユーザーとしてはどういう人たちが多いという理由で混雑が起きているのか、あるいはその道路事情によるものなのかというところを教えてください。
久元市長:
まず、有馬街道というのは昔から渋滞しているんですよ。昔は神戸市の北部と市街地を結ぶ道というのは有馬街道しかなかったんですけれども、これを神戸市は、もう次々に、新神戸トンネルを造り、それから六甲トンネルを造り、長田箕谷線を造り、どんどん渋滞を緩和していき、併せて、特に長田箕谷線の沿線にはニュータウンを開発するということで行ってきたわけですね。
昔に比べれば、有馬街道も相当渋滞は緩和をしています。緩和していますけれども、先ほど申し上げた皆森の交差点、それから谷上の交差点などは、まだ渋滞が見られます。これは先ほどのハード対策である程度緩和されたわけですけれども、ここはまだ渋滞が発生をしているので、ハード対策は今年中に完了しますから、新たな対策をしたいと。
それから先ほど、こういうカメラによる動画配信というのをあまり行われていなかった1つの理由は、ここの阪神高速北神戸線、有料道路と一般道が並行して走っているエリアって、そんなにたくさんありませんね。ないわけではありません。ないわけではありませんが、これを渋滞緩和するために料金を引き下げるという取り組みも、全くなかったかどうかは分かりませんけれど、これも非常に珍しい取り組みで、これは神戸市が料金の引下げの提案を、特に国土交通省近畿地方整備局にやりまして、それなら一緒にやりましょうと。それで、この料金引下げの効果を、やはり我々としては検証したいということで、こういうセットになった取り組みというのが全国的に見てあまり、少ないのではないかということでよろしいですね。
記者:
先ほどおっしゃられた、近畿地方整備局に提案をして、期間限定で引下げをされているというところで、取り組みとして今進んでいるところなんですけど、あんまりない事例ということで、逆にこれがうまくいった場合、引下げとライブカメラの使用という状況を今後も続けられる見込みというのは。もしうまくいった場合に、続けられる見込みというのはどれぐらいあるんでしょうか。
久元市長:
これは、実際に折衝に当たっている清水課長、以下建設局の皆さんには御苦労をかけるとは思うんですけど、私としては、この料金の引下げというのはぜひ継続してやってほしいなというふうに。相手がどういうふうに思うか、この高速道路の料金というのは全国一律の考え方で設定されているので、ハードルは高いかもしれませんけども、やはり渋滞をすると外部不経済が発生いたしますし、時間もかかるし、いろんな意味でのコストがいろんなところに発生しますから、せっかくある有料道路を、この社会インフラをどう賢く使うのかというのは、SDGsの時代には非常に適合した政策だと思うんですね。
そのためにも、今行っている料金引下げの効果というのがどれぐらいあるのか。その効果というのは、カメラに映った車種だとか時間帯をAIで解析することによって、ある程度解析する可能性があります。そういう検証結果を基に、これは非常に有効だということになれば、ぜひこれを続けていただく。できれば恒久措置ぐらいで、ちょっと苦笑いしているけど。恒久措置にしていただくぐらいのつもりでやってほしいなというふうに思っています。
記者:
最後、もう1点だけ。このライブカメラを設置して交通状況を配信するという取り組み、ほかの区間でも、今後うまくいった場合、展開されたりするのかというところを教えてください。
職員:
そうですね。今回運用してみまして、どれぐらいの方に見ていただいているかとか、その結果、どれぐらい渋滞が減ったかというのをしっかりと検証して、効果がある、好評であればぜひ広げていけたらなというふうに思っております。
久元市長:
小束山6丁目はどうなんですか。
職員:
実は小束山6丁目では先行して設置をしておりまして、見ていただいているような状況でございますが、なかなかその日の渋滞がどういう状況かというのが予測をしにくいというところがありまして、そこは好評をいただいているところでございます。
記者:
ちょっと順番が前後して恐縮なんですけども、人口の件でお願いします。先ほど、人口減の背景として、神戸特有の3つの事象をお話しされて、1つ目として、戦争で壊滅的な被害を受けて、人口が大きく戻ってきて、災害危険度が高くて、道路も整備されないところで住宅が密集されて、そこの人口が減っているんだというお話があったと思うんですけど、これ、減っている背景としては、そういった住みづらい環境だからというところなのか、あるいは人口が高齢化しているからなのか、どちらのほうに重きを置いて先ほどお話しされていましたか。
久元市長:
複合的な要因だと思いますね。昔の里道みたいなところのままで住宅が、昭和20年代、30年代、次々に建設されていった。もともとそんなに利便性が高くないところなんですけど、もうとにかく住むところがないから、そういうところに住宅を建てざるを得なかったというところですから、もともと住環境としてはそんなによくない。そして、もう60年、70年たって、住宅も老朽化するというところから、住民が流出して空き家になり、私も何回もあの辺、歩いていますけれども、空き家がどんどん増える。そして、その一部は老朽危険家屋になっているということだと思います。
記者:
あと1点だけ。神戸特有の要因として、震災と人口減というのはつながっていないのかという旨を伺いたいんですけど、例えばですけど、95年だとちょうどITとかインターネットが広がった時期にも重なりますけど、その先、復興していく中で、そういったIT企業とか新しい産業がなかなか神戸に入りづらかったんじゃないかという指摘も、私個人としては聞いたことがあるんですけど、そういったことも含めて、震災と現在の人口減というところが、どこかしらつながりがあると考えられているのか、その辺りについてお考えがあればお願いします。
久元市長:
先ほど御覧いただきましたように、震災の後、人口はかなり回復をしました。回復をしましたけれども、やはり震災の影響によって、例えば港湾の機能、壊滅的な被害を受けて、そして神戸を使っていた船会社などが周辺の港に行って、帰ってこなかったというような事情もありますし、それから、もしも震災がなければ違う産業振興策も講ずることができた。広い意味で、震災の影響というのは神戸経済に、あるいは神戸のインフラ整備やまちづくりにボディーブローのように効いてきたということ。それから、震災の後、多額の起債が財政運営を強く圧迫をして、財政危機に陥り、新たなまちづくりを行うことができなかった。それらの要因、つまりこれらは皆、震災の影響ですけれども、それによって十分なまちづくりや経済活性化振興策を展開することができなかったことが遠因となって、人口の増加要因を、もっと人口が本当は増えたかもしれないが、これを抑制させる効果があった、あるいは早い段階で人口減少につながったということは、遠因としてはあるだろうというふうに思います。ただ、それを数字として実証的にどう検証するのかということは、ちょっと困難を伴いますが、直感的にはおっしゃるような観点というのはあるだろうと思います。
記者:
人口の件でもう1点お伺いしたいんですけれども、先ほどのお話で、減少時代にふさわしい政策転換というお話があったかと思うんですけれども、その減少を抑えるという取り組みを進める一方で、ある種、減少は致し方ないというか、ある程度前提としたまちづくりというところを以前の会見でもお話しされていたかと思うんですけれども、この考え方、減少時代にふさわしい政策転換というのがどういうものなのかというのについて、もう少しかみ砕いてお考えを教えていただけますか。
久元市長:
典型的には、この人口減少時代にふさわしい、我々が直面しなければいけない、あるいは向き合わなければいけない価値というのが持続可能性、SDGsだと思うんですよね。このSDGsを考えた人口減少時代における政策の代表的な事例は、これはやはりいかにタワーマンションのような持続可能性に疑問符がつくような住宅投資を抑えて、既存のインフラである空き家、空き地をどう活用するのか。これは典型的にそういうことだというふうに思います、まちづくりで言うと。
もう1つは、人口減少時代にふさわしいまちづくりというのは、コロナのときのようなときに話題になった、3密に代表されるような高密度な都市空間を、もっとゆったりとしたものにしていくと。つまり、人口が増える、働く人も増える。しかし、スペースが足りないからそういう高密度な空間ができるわけですよね。
人口減少時代というのは、人口急増時代にやらなければならなかった政策とは今度は真逆の対応が求められる。人口急増対策のときは、とにかく質より量と。住宅をとにかくたくさん造る、学校をとにかくたくさん造る、そういう対応に追われたわけですよ。この人口減少時代というのは、質より量ではなくて、量より質。よりゆったりとしたオフィス環境というのを企業のほうでも準備していただく。それから、学校にしても、保育所にしても、幼稚園にしても、できるだけゆったりとした環境の中で子供たちが学び、遊ぶことができるような、そういう仕様にしていく。あるいは、そのために必要な人員を確保すると。典型的には、保育所における保育士さんですね。より充実したものにしていく。これは全国的にもそういう方向で考えられなければいけないし、自治体としてもそういう方向で取り組んでいかなければいけない。例えばの事例としてはそういうことが思い浮かびます。
記者:
今、量より質というところでお話しいただいたところだと、ソフト的な話になるかもしれないんですが、暮らしている人の生活というか、人口が減ってくると、一般的に活気が減ったりとかというのはあると思うんですけど、そのあたりは、減少時代にそこに住んでいる人の生活というか、まちづくり、満足度みたいなところをどう上げていくかみたいな、そのあたりはいかがですか。
久元市長:
あらゆることを考えていかなければいけないですね。同時に、この人口減少時代でありながら進んでいるのが孤立と孤独です。都市全体の人口が減っているのに、まちの中に出る人が減っている。そこの要因としては孤立、孤独というのがあると思いますから、この問題とどういうふうにして向き合うのか。神戸市も、ひきこもりへの支援、それからヤングケアラーへの支援ということを、これはかなりパイオニア的な政策として行っていたわけですが、そういう個別の政策だけではなくて、政策全体を、もっと人々が会話を交わし、コミュニケーションを交わし、まちの中に出て行っていきたいと思えるような、日常と非日常の魅力をどう高めていくのかという取り組みが非常に大事ですね。
特に大都市において、例えば三宮の再整備にいたしましても、ウォーターフロントにいたしましても、やはり便利で快適ということだけではなくて、三宮に行ったら、あるいは神戸のウォーターフロントに行ったら何か面白いことがある、面白いことをやっている、面白い人たちがいる、そういう非日常性みたいなものを感じることができるということが、家の中でスマホをずっといじっているよりも、外に出て行きたいと思えるような誘因にもなると思いますから、そういうような大都市としての魅力、まち全体の中の魅力というのを高めていくということが人口減少時代においては特に大事になってきているというふうに思います。
記者:
続けて、人口に関してなんですが、19年度、コロナ前なので、今となっては見方が変わるのかもわかりませんが、人口減少対策ということで、第1弾で街灯を増やすと。第2弾として名谷、垂水、西神中央のプランを提示された。リノベ神戸と言っていたかと思うんですが、19年度の人口減少対策について、その後の手応えですとか、あるいは中間評価といいますか、そういったものについて、今お感じになっているものなどありましたらお伺いできればと思います。
久元市長:
人口減少対策という観点も含めて、神戸市としては、タワマンの規制も典型的ですが、都心への一極集中を避けて、バランスのよいまちづくりを進めてきたわけですね。拠点駅としては、西神中央、それから名谷、垂水、それ以外にも、鈴蘭台や岡場など、北鈴蘭台などの再開発を行ってきた。これは、まだ途上の面がありますが、成果を収めてきていると思います。それは、神戸市がリノベーションという形で公共投資を行うことが民間投資を誘発しているということです。鈴蘭台におきましても、駅前ビルを整備した後、16年ぶりに民間のマンションが造られました。それから、西神中央も、駅前全体をがらっと変えるようなリニューアルを進めているんですが、民間のマンション開発も非常に順調です。名谷もかなり駅前におけるマンション開発が進んでおりまして、神戸市が売却した土地も、ありがたいことに、大変高値で売却もできました。
名谷駅のこれは1つの民間企業のランキングですけれども、多分、2022年でしたか、関西の中で4番目でしたかね。相当な上位でランキングされたことがありまして、名谷のステータスが大分上がったということもあったと思いますね。どちらかというと、長年手を入れられなかったこの名谷に駅前リノベーションの事業を展開して、実際に民間投資も誘発されているし、全体の評価というものも上がってきているという面では、これまでの政策というのは一定の効果を上げているのではないかというふうに思います。
記者:
まさに今ですと、例えば灘駅の広場を工事中ですとか、今度、神戸駅とかということがあるわけですが、そういった駅を中心とした改めてのインフラ整備というのは、先ほどおっしゃっていたような人口の減少幅をいかに抑制するかという観点で寄与の大きい政策であるというふうに御覧になっていらっしゃるということでよろしいでしょうか。
久元市長:
人口減少を抑制するという観点もありますし、この政策の観点は、公共交通を重視する政策で、これはやはり人口減少時代において公共交通をいかに上手に利用していただくと。人口減少時代に悪循環に陥らせるのは非常によくないと思うんですよね。人口が減るから乗客が減る、乗客が減るから運賃を上げる、あるいは本数を間引く。不便になるから乗客が減る、不便になるからそこに住む人口が減る。こういう悪循環をどう抑え、循環させていくのかということを考えたときに、やはり神戸は戦前から鉄道網が発達したまちですから、せっかくあるこのインフラをどう生かすとか、その重要な観点が駅ですよね。駅の周辺です。そして、この駅の周辺を便利にして、駅から発着しているバス路線も、運転士の確保など、非常に難しい問題があるんですけれども、こういうこともしっかり連動させる形で行うことによって、都心の人口を避けながら郊外の人口定着というものを図り、人口減少をいかに抑えていくのか。その鍵を握るのがやはり電車ですよね。公共交通であり、駅であり、駅前である。これはやはり人口減少にふさわしい政策で、これは、神戸に限らず、どこの地域においても求められる政策だと思いますし、ぜひこういう面で神戸市としてはパイオニア的な政策を展開していきたいと思っています。
記者:
先ほど鉄道網、インフラをどう生かすかというお話がありましたけども、北神急行が半額になったのは非常に私は大きかったと思うんです。ただ、西側、西区であったり須磨区であったり、神戸市営地下鉄が通っているラインに阪急、阪神が何らかの形で乗り入れるという形ができれば、この人口減少、例えば大阪圏から人を呼び込むことができると思うんですが、かなりハードルもあると思うんですが、このあたりはどう思われますか。
久元市長:
これは、私も1期目のときに、これはそういうことを申し上げて、トライしようと思ったことがありました。交通局も一定の試算をしてくれたりしたんですけれども、これは極めて困難だということが、その道のプロである今の城南局長が着任されて、詳細な説明を聞きまして、改めて痛感をいたしました。これは非常に難しいということです。それは、相互直通乗り入れをするということは、駅を飛ばして、そして西神中央の乗客をスムーズにできるだけ早く三宮に運び、そして大阪方面に運ぶということでしたけれども、実際の乗客は、西神中央はそれなりにいますけれども、そこの次の西神南だとか学園都市だとか、そういうところにもかなりのお客さんが乗ってきて、結局、名谷で快速などを使って追い越そうにも、そこであふれ返ってしまうということ。それから、上沢あたりで追越し路線を造るのにも膨大な費用がかかりますが、そこも非常に大きなネックになるということで、非常に難しいということが分かります。
今は、そもそも直通で相互乗り入れをして、そして西神中央などの乗客をできるだけ早く三宮に運び、そして阪神間、大阪に運ぶという発想は、この西神・山手線の西部のエリアというものをベッドタウンとして見ているという発想なんです。そうではなくて、このベッドタウンという発想を超えて、ハードルは高いんですけれども、職住近接の町にしていくと、西神・山手線沿線も名谷も含めて就業機会をつくっていくと。特に女性が働きやすい場所、就業機会をつくっていく。ささやかな例を先ほども申し上げましたが、名谷のあおぞら幼稚園とか、tete名谷の中にできましたワーキングスペースなどがそうですけれども、これは、隣の駅に働きに行く、隣の駅に勉強に行く、隣の駅の病院に行くというような、西神・山手線の中の、この西部の中での利用客を増やすという発想というものも、今まではあまりなかったわけですけれども、そういうような発想を取り上げることによって、この西神・山手線沿線を職住近接の町にしていくということは、これはベッドタウンからの脱却と、神戸の郊外の新たな視点を入れながらのまちづくりということにもつながっていくのではないかというふうに、現時点では考えられると思います。ここはまだ、そういう発想に立ちつつ、今政策の展開を準備しているところで、まだ十分な政策展開にはなっておりませんが、そういう発想を切り替えた施策ということを、これから考えていくということも重要ではないかと思っています。
記者:
人口減少に関して2つ伺わせてください。市長は減少幅を抑えるということを強調されてらっしゃるんですが、あえて、人口を増やすということを目指すとおっしゃらない理由についてちょっと伺いたいと思います。それは、やっぱり全国的な傾向で人口減がある、それに神戸市も当てはまっているからというお考えなんでしょうか。
久元市長:
我が国の将来人口推計というのは、国立社会保障・人口問題研究所が出す推計が一番権威があるものとされていますが、日本の人口はこれからずっと減っていきます。こういうような段階に入った国が、再び人口増に入る可能性はほぼないだろうというふうに、これは、およそその道の専門家の間に行き渡っている見方だと思うんです。
そういう中で、我が国の人口が増えない中で、神戸市以外のほとんどの自治体にも当てはまることだと思いますが、神戸市が独自に人口増という目標をたてることは、これは非現実的だろうと思います。やはり人口減がこれから続く、人口減少幅をどれだけ抑制するのかということが現実的な政策目標だと思います。
記者:
すみません、あと1点だけなんですけれども、とはいえ、やはり人口というのは、都市や町、自治体を維持する上で、税収などの観点からも、やはり一定規模は保たないといけない。だから市長も人口減の抑制という言葉をおっしゃっていると思うんですが、例えば神戸市が二、三十年後、今のようなまちの在り方を維持する上で、どれぐらいの人口規模を保つ必要があるかとか、何か数字的にお考えがあれば伺わせてください。
久元市長:
何か、政治的判断として、この人口を維持しますという目標を設定する気にはならないですね。責任ある政策判断をしなければいけないという観点に立ったときに、客観的に見て、このままの趨勢が続けば人口はどういうふうに推移するだろうか、その上で、こういう政策を立てれば、それをいかに改善することができるのかというアプローチが常識的ではないかと考えておりまして、ちょうど今、基本構想、基本計画を策定中ですから、そこの中で、将来的な人口見通しも示していきたいというふうに思っております。
記者:
まず、人口減について何点かなんですけど、先ほど、冒頭予想していたとおりということをおっしゃっていたんですけど、何というんですかね。150万人を切ったということに対する危機感というか、そういったお気持ちというのは、特にあられませんか。
久元市長:
長年、150万台を維持してきたわけですから、やはり、150万を切ったということについての一定の思いはあります。しかし、今日も冒頭から申し上げておりますように、これは我が国全体の人口傾向であるわけですから、その現実というものを真正面から受け止める、それから、これからかなりの確率で推移していくであろうこの人口減少、そして、人口減少を招いている我が国の経済社会というものを真正面から見据えて、それに対してどう的確に対応するかという発想に立つということが基本姿勢ですし、大事なことではないかというふうに思っています。
記者:
その上でなんですけど、先ほど東京圏と、あと、圏域の中心で政令市、人口が増えているということなんですけど、関西圏においては大阪市だと思うんですけど、改めて、大阪市で増えている理由、原因はどこにあるとお考えですか。
久元市長:
これは、1つは、一番人口が増えているのは福岡です。それから大阪、仙台、それから名古屋ですよね。圏域の中心都市でもある岡山と広島は、新潟もそうですが、人口が減っていますね。こういうふうに考えれば、やはり東京圏の人口吸引力というものが、大変高い。ここは国の国土政策として、東京一極集中に対する対応を、地方創生ということで歴代内閣はやってきたけれども、まだまだ国の政策として十分ではないということですから、そこは神戸市としても、あるいは指定都市市長会としてもコンセンサスを得ながら、地方創生の取り組みの強化ということを求めていかなければいけないと思います。
それから、北海道、九州、それから東北で起きていることというのは、地方が疲弊しているということです。中心都市以外の都市が、あるいはそれ以外の地域が疲弊をして、産業が衰退をし、そして人口が札幌に集まり、福岡に集まり、仙台に集まっているということですね。ですから、こういう人口動態が示すものは、やはり圏域の土地以外の地域の疲弊ということ、このことは東京一極集中とも関連するわけですね。そういうところの人口を圏域の中心都市が集めて、かなりの人々は札幌に住むけれども、札幌からも仙台からも、大阪からも福岡からも、かなりの、特に若年人口が東京23区に転出をしていると。東京23区に転出している最大の転出元の大所は指定都市なんですよね。こういう人口の流れということが、これはよくないと思うんですよ、恐らく。これはよくないだろうと思うんです。これは、東京がますます肥大化をする、そして大多数の地方圏が疲弊をしている状況というのは、これはやはり、我が国全体の地域のありようとして、しっかり考えなければいけないということが、こういう人口の動向からもうかがえるということではないかと思います。
記者:
もう少し、すみません、大阪に絞ったお話で、例えば神戸や京都に住んでいるよりも、大阪に勤めている人は大阪に住むようになっているから大阪は増えているとか、どういったふうな御見解ですか。
久元市長:
これはもう少し分析が要るかもしれませんが、やはり大阪で人口が急激に増えているのは梅田近辺ですね。一方で周辺、外縁部の、例えば典型的には平野区などは、人口はそんなには増えていない、ひょっとしたら減っているかもしれません。やはり大阪市の中でも一極集中が進んでいく1つの原因は、やはり商業集積が梅田近辺に相当集積しているということと、もう1つはタワーマンションですよね、タワーマンションが建つということは、都心における職住近接が進んでいるということです。
これは、都心居住への流れというのが、もう10年以上前からずっと起きているということの結果で、それが典型的に表れているのが大阪や福岡ではないかなというふうに思います。
記者:
その上でお伺いしたいんですけど、神戸市の昨年の人口移動の統計を見ると、大阪へだけではなくて、西宮、芦屋、尼崎などのより大阪に近い阪神間の自治体に神戸からの転出超過の傾向が出ているんですけど、しかも、これがこの20年ぐらいずっと続いているという状況で。これについてはどうお考えですか。
久元市長:
1つは、今おっしゃいましたように、大阪に近い、つまり、大阪の吸引力というのが相当やっぱり強いということですよね。大阪に近い尼崎、西宮に人口が流出しているということ。それから、もう1つは、個別事情というのもあると思います。尼崎ですね、特に工業都市であったものが、これが急速に住宅都市に変貌してきていると。工場の跡地に特にマンションなどを大量に建設をするまちづくりが功を奏しているということではないかというふうに思います。
記者:
最後になんですけど、市長は常々、神戸は大阪のベッドタウンにはならないということをおっしゃっているんですけど、そういった阪神間の駅前で住宅開発が進むような都市とはまた違うまちづくりを目指すという、そういったことでよろしいですか。
久元市長:
かなり都市の性格が違いますから、尼崎や西宮のまちづくりと比較して神戸がどういうまちづくりをするのかという発想には立ったことはありません。やはりベッドタウンにしないということは、神戸で、特に神戸の都心、三宮、神戸の玄関口・三宮やウォーターフロントなどでショッピングを楽しみ、グルメを楽しみ、アートシーンを楽しむような、そんな神戸のありようということをかなり多くの市民は望んでいるのではないかというような基本認識に立ってまちづくりを進めていきたいというふうに思っています。
記者:
今日も空き家の代執行があったと思いますけれども、市内にはまだ780戸ほど解体とか改修が必要な空き家が残っているとのことです。今後、その解体費用が、全て税金で賄っていくのか、それとも別の方法を検討されているのか、どのように対策を打っていきたいかということを、改めてお考えをお聞かせください。
久元市長:
解体が必要な住宅と改修が必要な住宅と全然違いますよ。
記者:
はい。解体のほうについてはどのようにお考えでしょうか。
久元市長:
解体が必要な住宅については、解体の補助金を用意しておりまして、これは全国で最高レベルですよね。年間1,000戸の補助金を用意しています。これでかなりの件数が解体されてきているということでして、老朽危険家屋についてはそういう形で解体を促していく。
それから、どうしても、代執行というのは、神戸市はかなり積極的に行っていますけれども、ほとんど行っていない自治体もあります。非常にハードルが高いんですね。しかし、周りに大きな被害を及ぼすような住宅は、これは放置できないということです。やっぱり人命が大事です。これは改修できない可能性が高いわけですけれども、そういうような身の危険が迫っているときに、お金がかかるから代執行はしませんという選択肢は、多分、心ある神戸市の職員は持っていないと思います。やっぱりやらなければいけないという使命感で今日も困難な解体作業に取り組んでくれていると思います。
記者:
大分話は替わるんですけれども、以前、SNSを市長はやられていて、今やめられたと思うんですけど、県のほうでも誹謗中傷対策の条例というお話がある中で、実際にやめられてみての所感ですとか、得たものなどありましたら教えていただいてもよろしいですか。
久元市長:
せいせいしたというのが所感です。
記者:
投稿するにも、大分、例えば、いろんな配慮をしたり、考えたりするという意味で、かなり負担に感じられていた点が多かったという点でせいせいされたということですか。
久元市長:
1つは、人に勧められたということもあるけども、ツイッターもインスタもフェイスブックもやっていましたけれども、特にツイッターなんかは全く事実無根の書き込みとかコメントがたくさんありましたよね。それに対して反論すると、それがさらに火がつくと。泣き寝入りするしかないという状況でした。
それから、やっぱり投稿するについても、好き放題書けないわけで、それなりにやっぱり考えないといけないわけですね。考えて投稿すると。考えて投稿すると、人間ですから、どんな反応になるのかというのも気になります。実際、反応を見たら、何というのか、気がめいるというか、頭にくるというか、という日々を送っていると、やっぱり人間の心理状態というのがあまりよくないわけですよね。
例えば神戸新聞さんの社説なんかは、私には精神的タフさが足りないというような趣旨の社説も何かあったと思うんですけど、精神的タフさが足りないというのは甘んじて受けますが、私は、やはり、ひたすら精神的タフさに磨きをかけて、そういう中で戦い続けるよりも、そこから離れて、自分なりに思索の時間を持ち、また、直接市民の皆さんと対話をしたり、あるいは庁内でしっかりディスカッションをしたり、そういう時間のほうが大事だなと思ったからやめたし、実際そういう時間も持つことができるようになって、より充実した日々を送ることができているというふうに感じています。
記者:
結果的によい市政運営にもつながっているというところですか。
久元市長:
そう思います。
記者:
もう1点お願いします。王子公園の件でして、今、基本計画の素案のほうが公開されているかと思うんですけれども、現状の案ですと、スタジアムが移転されて、今のテニスコートなんかがあるところに移転されると、今現在だと樹木がある程度生えているという状況で、ある程度伐採あるいは移転といった対応が求められるかと思いますが、その辺りの今後の見通し、お考えについてお願いします。
久元市長:
樹木はできるだけ残すというのが基本です。できるだけ樹木を残したいと。例えば私もよくあの辺へ行きますけど、本当にいい環境ですよ。すごくいい環境で、青谷川のほとりとか、本当に散策すると、いい雰囲気ですよね。ああいうような雰囲気はできるだけ残したい。
しかし、スタジアムも、今の古いスタジアムを解体したり、それ以外の建物も解体をしていくわけですから、工事の過程で一定の樹木を伐採するということは必要になってくると思いますが、しかし、基本は、極力、今の木を残す。それと、全体としての樹木の本数は、今まで以上の本数を確保するということですね。
それから、あと、この王子公園の再整備をしても、しなくても、あそこで、従来から、この王子公園の再整備のときから問題になったのは桜の木なんですね。桜の木が653本あるんですね。この653本のうち、かなりの木が老木になっているんです。桜の寿命というのは60年ぐらいですね。60年ぐらいなんです。ところが、王子公園は60年を超える桜の木というのが結構あって、これは、王子公園の再整備をしても、しなくても、やっぱりこれは植え替えないといけないところがありましたから、桜の木が大変多いというのが特徴。できるだけ桜にも長生きしてもらいたいなとは思いますけれども、やっぱりどうしても老木になっているものは、これを機会に、王子公園の再整備がなくてもどうせ植え替えないといけなかったので、これを機会に伐採するということは、これはする必要があるんです、もともと。そういうことも含めて、今の樹木数以上の樹木数は確保するというのが基本方針です。
記者:
少しまた戻るんですけれども、人口の話で。人口は減少が続いていますけども、世帯数のほうを見るとずっと増え続けているんですけれども、これは、亡くなった方はたくさんいらっしゃるにしろ、流入してくる方、単身で入ってくる方が多いという認識でいいんでしょうか。
久元市長:
幾つかの要因があろうかと思いますが、やはり独り暮らしの、特にシニア世帯ですよね、シニア世帯がやっぱり増えているということ。それから、もう1つは、地域によって違いますけれども、中央区などでは単身の若年世帯が増えている、そういう世帯が流入しているという傾向もある。独り暮らしの世帯が若年層でもシニア層でも増えているというようなことが、ほかにも要因はあろうかと思いますが、その辺の要因が大きいのではないかなと思います。