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定例会見 2023年11月24日

最終更新日:2023年11月24日

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「神戸市におけるAIの活用等に関する条例案」の考え方について

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「神戸市におけるAIの活用等に関する条例案」の考え方について

司会:

 それでは、ただいまより11月2回目の市長定例会見を始めさせていただきます。

 市長、よろしくお願いします。

久元市長:

 よろしくお願いいたします。

 今日お話を申し上げたい案件は1件、「神戸市におけるAIの活用等に関する条例案」の考え方につきましてご説明を申し上げます。

 神戸市は、AIは使い方によっては市民の権利に関係する、また、使われ方によっては行政の公正、正確な執行を阻害するリスクというものがあるので、その活用については条例で規定すべきだというふうに考えてきました。特に、この生成系AIのChatGPTにつきましては、神戸市情報通信技術を活用した行政の推進等に関する条例を5月に改正をいたしまして、庁内の職員による利活用について一定のルールをつくったわけです。

 そして、運用に当たりましては、ChatGPTに関する安全性の高い環境を整備するということで、利用ガイドラインの策定をすると。このガイドラインの中では、条例で定める禁止事項を明記するということと、利用に当たっての注意事項、活用方法、効果的な質問の方法などをガイドラインで示しております。

 そして、独自開発の連携アプリを活用いたしました試行を行いました。この試行は6月から9月まで3か月行いまして、133人の職員がこれを利用いたしました。利用者のアンケートでは、96%の職員がChatGPTを使うことによって仕事の効率が向上したというふうに答えておりまして、どういう分野でこれを使うのが有効かということについては、文章作成、アイデア出し、エクセル関数やプログラミングコードの生成については、これは非常に役に立つと。その一方で、情報の検索についての評価は低かったという状況、これが神戸市でのこれまでの状況です。

 その後も、毎日このAIに関する報道がなされております。このAIの技術は、ChatGPT、生成系のAIに限らず幅広い分野に活用されていますし、様々なAIを活用した技術が進展をしております。同時に、このAIの活用の中で間違った答えが返ってくる、ひょっとしたら間違った判断がそこでなされる可能性もある、あるいはバイアスが生じると、こういうインシデントも発生をしております。

 こういう動きの中で、国内外でルール整備、規制をする動きも出てきておりまして、欧州ではEUのAI規制法案が、もうこれは大分前に公表されておりますし、今年の6月には、EU議会で包括的なAI規則が採択をされました。アメリカでは、10月にAIの安心、安全で信頼できる開発と利用に関する大統領令が発布をされておりますし、ニューヨーク市でもルールが、ニューヨーク市議会で決定をされております。

 一方で、政府は、これは少し遡りますが、2019年3月に人間中心のAI原則を公表いたしまして、事業者が留意すべき10の原則を定めたAI利用ガイドラインというものもまとめられております。こういうような海外の動き、また政府の議論、ガイドラインなどを参考にしながら、神戸市としては、この2月議会にAIに関する条例を提出したいというふうに考えているわけです。

 神戸市のこのAIの条例の射程ですね。どういう位置づけ、範囲でこの条例を考えているのかということですが、これは新事業者AIガイドラインのスケルトン案によりますと、このスケルトンの対象は、大きく言って、開発事業者、開発事業者もアルゴリズム開発者向け、あるいは学習実施者向け、AIシステム・サービス実装者向けという開発事業者向けのこのガイドラインが1つです。もう1つは、サービス事業者向け。AIを活用したサービスを実施する事業者、こういうサービス事業者向けのガイドライン。そして業務でAIを利用する、自らの業務にAIを利用する者に向けたガイドラインというふうに、このガイドラインの射程は、大きく言って3つに分かれているわけです。

 神戸市の条例は、神戸市が業務でAIを利用する者向けという、そういう視点で条例を制定するという、そういう考え方で条例案の立案をするというふうにしたいというふうに考えております。これは自治体の中では例がない話ですので、十分な議論が必要です。

 私どもなりに様々な情報を収集して、この条例案の現時点での考え方を整理してみましたので、その骨子について説明をさせていただきますと、神戸市の条例の射程は、対象は神戸市と、そして神戸市の業務を請け負い、受託する事業者が対象であるということで、その骨子といたしましては、まずAIの利用に関する基本指針を策定しようと。この基本指針では、市民サービス向上、行政事務の効率化に向けたAIの積極的活用ということを基本方針で示した上で、ここは議論があるところですが、市会の答弁に対して、つまり議会に対して執行機関が答弁をする、その答弁については利用しないということを規定したいというふうに考えております。ここは、場合によったら、基本方針ではなくて条例の中に規定をするということもあり得るのではないかというふうに考えております。そして、このAIの活用は市民の権利利益に影響を与えることがありますので、その可能性や大きさを踏まえながら、必要なリスクアセスメントを実施するということを規定すると。

 それから、このAIチャットボット等の活用については、非公開情報を含む指令を与えることを禁止すると。これはこの5月に改正をいたしました神戸市情報通信技術を活用した行政の推進等に関する条例の中に規定されている内容を、この新しく新設する条例の中に規定をすると。こういうことですね。

 それから、市民、事業者による活用については、広報、それから、事業者に対するAIの活用に関する助言、学校におけるAIを適正に活用するための教育等の取組について、市が実施に努めるといったような内容を規定する。

 それから、神戸市の事務事業を受託する民間事業者ですね。この民間事業者に対しては、申請書類等にAIを活用する場合の報告義務、それから、受託事務にAIを活用する場合には事前協議を義務づけるということを、そういう責務を課すということを考えております。

 あわせて、これはまだまだ進化していくと思われますし、専門家の助言をいただくということで、基本方針を定めたり変更したりする場合で、リスクアセスメントを実施する場合に助言を求めるAIアドバイザーを設置するということを、この条例の中で規定をしたいというふうに考えております。

 こういう条例案の骨子につきましては、今日から1か月間、1か月余り市民の皆さんの意見を募集したいと考えております。

 あわせて、有識者会議を設置いたします。政府のAI戦略会議の構成員である東京大学の江間准教授をはじめとする、弁護士、行政DXの専門家、AI事業者による、そういうメンバーで構成される有識者会議を設置したいと考えております。有機者会議は、まず11月30日に開催をして意見をお聞きし、そして、この1か月間の意見募集を踏まえた、つまり、どういう意見が寄せられたのかということを踏まえて、2回目の有識者会議を開いて改めてご意見をお伺いし、最終的な条例案の規定に反映をしていきたいと考えております。有識者会議のメンバーは、お手元に配布をしているとおりです。

 スケジュールですけれども、今日から意見募集を開始し、11月30日に第1回有識者会議を開催し、12月25日まで意見募集をいたしまして、1月の上旬に第2回の有識者会議を開催し、2月の上旬の2月議会に議案を上程したいというふうに考えております。

 私からは以上です。

質疑応答(発表項目)

記者:

 確認なんですけども、このような条例案の検討に入っているというのは、今のところほかの自治体では例がないことということでよろしいでしょうか。

久元市長:

 例がないというのはいつも質問されて苦慮するんですけれども、ないということを証明するのはなかなか難しいですが、私どもが調べたところでは、AIに関する条例をつくったのは神戸市だけですね。さらに5月につくった条例は、つくったのではなくて既存の条例を改正したわけですが、今回は新たにこのAIに関する条例を、包括的な利活用に関する条例を制定したいというものです。これは神戸市だけです。

記者:

 ありがとうございます。
 あと、ChatGPTの条例のときのように、個別のアプリごとに規制を加えるという考え方もあるかと思うんですけども、今回その他のAI全体について規制をするということについての理由について伺ってもよろしいですか。

久元市長:

 それは、もちろんChatGPTはこれまでになかった新たな技術ですけれども、AIについてはその後も、最近の議論でも、やはりAIの活用によって様々な新たなアイデアが生じたり、新たなサービスが生まれたり、業務が画期的に効率化されたりするということがある一方で、AIによって誤った情報がネット上に大きく拡散をされるとか、あるいはAIの活用によって、AIがいわゆる捏造、既存の文章や、あるいは動画や、あるいは画像に人工的な修正を加えて、言わば存在しない情報が、コンテンツが流通するという非常に深刻な事態も報道されておりますね。

 そういうことから考えると、市民の権利あるいは行政の執行をする上で、影響を受けるのは生成AIだけではなくて、幅広くAIというものが影響を与えるということは、これはますます鮮明になってきているので、それへの対処というのはやっぱり必要で、これは非常に重要な分野なので、条例で規定をする必要があるというふうに考えているということです。

記者:

 1つの具体例として、留意点に市会答弁の利用禁止等を挙げられたといいます。これも要は情報の正確性とかという点で懸念があるからということですか。

久元市長:

 ここは議論があるところですが、正確性とともに、議会は自治体の意思決定機関ですよね。意思決定機関で、議会に対しては地方自治法上も長などの出席義務が規定をされていて、出席をして、自分の言葉で執行機関としての考え方を説明する、質問に対して誠実に回答する義務があるということですね。

 そういうことを考えれば、AIが作成をした文章を、これを読み上げるのではなくて、少なくとも自分の言葉で、また、執行機関の中の職員の皆さんが自分の頭で考えてつくり上げた、練り上げた考え方に基づく答弁をする、説明をするということが、議会に対して誠実な態度で臨むということではないかと。これは議論のあるところだと思いますが、現時点では、これは正確性というよりも、議会に対して誠実な態度で臨むという基本姿勢を取るとするならば、それはおのずからAIではなくて、自ら職員が、あるいは私も含めた執行機関が、自分の頭で考えた考え方をしっかり説明すべきではないかという、これは議会に対する基本的な姿勢から出てくる対応方針ということです。

記者:

 すみません、あと1点だけ。AIをめぐっては、それこそ画像生成ですとか、動画を生成するとか、いろんな処理がある一方で、どうしてもChatGPTのイメージというか、知名度が圧倒的に強い中で、具体的に市として今後どういった類いのAIを使い得る可能性があるかという、今のところのお考えなどはありますでしょうか。

久元市長:

 それは様々あると思いますが、先ほどの例でも、エクセル関数とかプログラミングというところでは、これは相当な威力を発揮すると。それから、議会答弁には使いませんが、文章作成についてはかなりの威力を発揮するというふうに言われておりますし、アイデアとか気づきというようなところでも、これも非常に大きな刺激があると。

 アイデアや気づきというのは、最終的には、これは職員の皆さんが自分で考えるわけです。自分で考える上でのアイデアや気づきというものに対しての参考ということですから、これは最終的には自分の頭で考えるわけですから、その過程においてAIを活用するということですから、これは比較的デメリットとかリスクは少ないかもしれませんね。

 それ以外にもいろんな可能性はあろうかと思いますが、いずれにしても、リスクを最小限にしながら利活用を考える。AIを積極的に活用するという基本姿勢は、条例は規制をすることだけを目的にしているのではなくて、ルールをつくっていくということですから、積極的に活用するという基本方針の下にこういうルールを条例でしっかり規定しようということです。

記者:

 今の質問で、今後のAI利用についての方針を聞かれていましたけれども、足元でChatGPTは試行があったと思いますけれども、それ以外のAIで今、足元で何か活用している例があれば教えてください。

職員:

 例えば、生成AIではないんですけども、神戸市で既に業務利用しているAIの事例として、例えば道路を点検する車がカメラで撮影をしながら移動して、補修が必要なところをAIが検知をして提案をしてくれたりとか、あと我々、市民の方にアンケートを取ったりいたしますが、そういったところを要約してくれたりとかという業務では一部、AIを活用しているものがございます。

記者:

 先ほど市長が、AIが捏造した文章とか動画がネットで流通するということは懸念として挙げられていまして、実際に岸田首相の動画がネットで流出すると、それが生成AIが使われているんじゃないかという報道もありましたけれども、現時点で神戸市内で、神戸市内というか、神戸市の管内でそういった被害とかというのは出たりはないでしょうか。

久元市長:

 ありません。
 ありませんというふうに断言をしたのは、神戸市の業務の中ではありませんということです。

記者:

 この3か月ほど、AIの利用を試行的にされてきたということなんですけど、総括的に見てデメリットというか、リスク面よりもやはりメリット面が大きいという判断で、今回の包括的な条例を立てようというご判断なんでしょうか。

久元市長:

 5月につくった条例は、基本的にはこれは、生成系AIは使用禁止にした上で、一定の要件を満たすものを使っていいということと、それから、こういう情報は入力してはいけない、禁止事項を示した上で、そこで試行を始めたということです。ですから、これは100%完全ではないかもしれないけれども、神戸市としては考えられる対応を条例の制定も含めて行って、必要な指針も職員の皆さんにお示しをして使ってもらったということもあると思うんですけれども、そこから実際にこれを使う過程で、また補足していただければいいと思うんですけれども、大きなリスクというのは使う過程ではなかったのではないかと。

 むしろ先ほど申し上げましたように、かなりこれは使うことによってメリットが大きい分野というのが、かなり見いだし得てきましたので、全体としては、これは使うことに意味があると。これは生成AIの話ですけれども、使うことに意味があるし、これは大いに利活用をすることができる可能性は、相当これから広がっていくのではないかという認識を持っております。大体そんなことでよろしいですか。

記者:

 冒頭に市長、冒頭でAIのリスクにも触れられて、リスクもあるということで、やっぱり神戸市としては、利用に当たっては条例で規定すべきと考えているとおっしゃっていたかと思います。改めてなんですが、そこら辺の思いをもうちょっとご説明いただきたいんですけれども、なぜ内規というぐらいではなくて、内規とかで定めるのではなくて、条例でこういう明記すべきだということについて、まずお考えを教えてください。

久元市長:

 先ほど、前のページでいうと、AIのガイドラインの射程は、これは国のガイドラインですよね。国のガイドラインは、開発事業者、サービス事業者、利用者と幅広く対象としているわけです。そして、そういう情報の捏造とか、あるいはコンテンツの改ざんとかというのは、これはここで規定されているような人たち以外で行われるわけですが、そういうことが行われるわけですが、そういうことが行われないようにすべき立場の人たちが開発事業者であり、サービス事業者であると考えられるわけですよね。こういう対応というのは、これは自治体ではできないです。

 冒頭から、私どもの射程は、あくまでも神戸市としての仕事。神戸市も広範な仕事をしていて、そしてその広範な仕事を、自らしている業務でAIを利用する者向けというこのガイドラインの位置づけの、この利用者に当たるという立場で、そして条例を規定しようというのが私どもの射程です。

 今起きている事柄というのは非常に深刻な問題で、これは本来、国民の権利に関わる、あるいは国政を含めた行政の適正、公正な執行を大きくゆがめる可能性もあるわけですから、これは当然法律で規定されるべきではないかというふうに思いますし、先ほど説明もしましたように、EUとかアメリカとかはきちんと法律なりで規定をするという方向に向かっている。日本はまだそこまで行っていないですけれども、私はそう思います。これは国民の権利、あるいは利益、AIというものが行政の基本に関わるので、当然、法律で規定すべきだというふうに思います。しかし、そこはもう国の判断ということで、自治体が関わる部分というのはここだろうと思うんですよね。ここの部分は、全体の射程の中では一部ですけれども、行政の執行の在り方によっては市民の権利に関わってくるということと、行政の公正、適正な執行に関わってくるリスクがそこで生じる。だから議会の議決を得た、自治体としては最高の法形式である条例で規定をするということが私は不可欠だというふうに考えております。

記者:

 ありがとうございます。
 ご説明あったように、確かに国のスケルトン(案)に関してでは、今回、神戸市が射程としている利用する側のほうは入っていないと思うんですが、ちょっと「たられば」の話になっちゃって恐縮なんですけれども、将来的に、例えば国が利用する側へのガイドラインとかも定めましょうってなったときに、国に先んじて神戸市がこういうルールづくりを進めると、国の考えとそごが今後生じたりする可能性もゼロじゃないのかなと思うんですが、もしそうなればそれは修正していくとか、そういうことになるんでしょうかね。

久元市長:

 いや、国のほうも利用者向けのガイドラインをつくっているわけですよ。截然と対象範囲が国と自治体で分かれているわけではなくて、国はガイドラインということで、自治体も含めた利用者としての考え方を示しております。私どもはそれを参考にしながらつくっています。同時に、繰り返しになりますが、こういう部分は市民の権利や行政の基本に関わるから、条例で決めるべきではないかと考えているわけです。

 将来、この私どもがつくった条例の規定の内容が明らかに国の方針と反するとか、あるいは国が法律をつくって、その法律に基づいてAIに関する条例を自治体が制定しなければならなくなったときに、そこにそごが生じたり、あるいは私どもが今度つくろうとする条例で規定する部分が不足している場合には、そこは当然のことながら条例を改正して対応するということになろうかと思います。

記者:

 ありがとうございます。
 あと1つだけなんですが、先ほど、現時点で神戸市におけるAIの利用について、具体的な項目として、道路の補修箇所の検知だったりですとかのご説明があったと思うんですけれども、例えば諸外国とかだったら、何か許認可であったり、申請事務とかの段階での判定だったり、そういうことに導入しているケースがあったり、逆にそれを導入したことによってのトラブルとかもあると思うんですが、今後やっぱり神戸市でも許認可事務だったり、そういう部分でのAIの活用というのもあり得るということも考えて、条例づくりが要るんじゃないかということですかね。

久元市長:

 先ほどの基本方針の中で、その辺のところも、個々の市民向けのサービス、市民に対して承認を与えたり、許可を与えたり、あるいは申請を受け付けたりするという部分にAIを使うことの可否、あるいはそれを使う場合の留意点のようなものは、この基本方針の中で規定をするということは検討したいと思います。この辺は非常に重要なところなので、有識者の皆さんの意見もしっかり聞いてみたいというふうに思います。

 ただ、現実には、これまでAIで個々の市民に対するサービスの、一人一人の市民に対するサービスの提供をするかしないかということにAIを使ったケースというのはほかの自治体もありまして、それによって、数はそんなに多くありませんが、明らかにAIを使ったことによって不利益が生じたケースはあります、現実に。だからこそ私たちはこの条例に基づく基本方針の中で、そういうリスクを避けられるような対応を明確にしたいというふうに考えているわけです。

質疑応答(発表項目以外)

記者:

 三田市との市民病院の件なんですけれども、今日の午前中の三田市の市議会で、市長のほうが、今日をもって凍結していた再編統合計画を進めたいと、今まで取組が止まっていたことを神戸市におわびした上で、改めて協議を進めたいというふうな考えを示されたということなんですけれども、これについて、率直な市長のお受け止めをお聞かせいただけますでしょうか。

久元市長:

 市長がそういうことを表明されるという報道には接しております。ただ、正確に、この話は大分年月をかけて方向性を確定し、また三田市さんとの間でも一定の方向性について合意した話ですから、大変失礼な言い方になるかもしれませんが、報道でこれについて神戸市としてどう考えるかということについては、申し上げる段階ではないと思います。三田市から正確に正式に三田市としてのお考えを聞いた上で、今後、市長も代わられましたので、三田市さんと一緒にどう進めていくのかということをお聞きした上で神戸市としての考え方を明らかにしたいというふうに思います。

記者:

 ありがとうございます。
 じゃ、まだ今現時点ではご連絡等は受けていらっしゃらないということですかね。

久元市長:

 そうです。

記者:

 先ほどの病院の統合の件で、今現在の市長のお考えは以前からとお変わりないのかというところ、つまり、再編統合すべきだというお考えはお変わりないのかというのをお伺いしたいです。

久元市長:

 そうです。これは専門家から成る検討委員会も設置いたしまして、三田市、それから三田の市民病院、済生会兵庫県病院ですよね。そういう関係者の皆さんも入った上で議論をして、そして三田市さんとの間で正式に合意をして進めてきた事項ですから、両病院の再編統合、そしてそれぞれの関係者の役割分担、そして現時点で予定をしている場所での建設を進める。こういう方針については、神戸市としては変わることはありません。

記者:

 ありがとうございます。
 あと、この関係で、もともとの予定が2028年度の開院を目指していたと思うんですけども、今から、もし三田市さんが統合に賛成となったとしても、スケジュール的にちょっと遅れが生じる可能性が出てきているとは思うんですけど、その辺はどうご覧になっていますでしょうか。

久元市長:

 そこはよく分からないですね。市長選挙があったのが7月で、今日は11月で4か月ですから、報道のとおり事柄が進むとするならば、三田市さんが従来の方針どおりに対応する、つまり、両市との間の合意を変えないということであれば、4か月ですから、この4か月が実際の病院の開業時期に影響するかどうかというのは、そこは現時点ではよく分かりません。できるだけ遅れることがないように今後作業を進めたい。神戸市としては、そういう希望を持っています。

記者:

 恐れ入ります。今の質問に関連して、三田市民病院の再編統合に関連して1つお尋ねいたします。三田市の田村市長の方針については、ある意味、市長選で掲げた公約を撤回したというふうに受け止めることができると思います。市長も今、神戸市長となられて3期目なんですが、公約を撤回するということの重みについて、市長の考えがあれば伺いたいんですけれども。

久元市長:

 一般論としてお聞きになられたのかもしれませんが、これは三田市長と市民との間との関係ですから、その限りにおいては部外者でありますから、そこはコメントはしづらいということはご理解いただければと思います。

記者:

 一般論だったら、いかがでしょうか。

久元市長:

 一般論といっても個別の話ですからね。同じことなんですよね。これは三田市民の皆さんの問題、三田市長選挙の問題であるというふうに私は理解をしています。

記者:

 神戸市のナイトタイムエコノミーの活性化のために、来週からサントリーさんと神戸市のバーがタッグを組んだキャンペーンが始まるということで、私たちも注目しているんですけれども、こうしたキャンペーンの背景にある神戸市の夜のにぎわいに関する課題と、あと今回のキャンペーンに期待すること、効果について伺いたく思います。

久元市長:

 ちょっと話が上になるかもしれませんが、この前、サントリーの幹部の方とも意見交換をしたんですけれども、そのときに話題になりましたのが、切り絵作家の成田一徹さんの『神戸の残り香』あるいは『新・神戸の残り香』だったでしょうかね。もう1つは、全国のバーを紹介した切り絵の画集があるんです。これ、神戸のバーもたくさん載っています。その成田一徹さん、残念ながら、私が11年前に神戸に戻ってきたときに、ちょうどその頃お亡くなりになられて、お会いすることはできなかったんですけれども、奥様からそういうバーの画集を頂きました。

 そこで成田一徹さんが書いておられたのは、このまちにはもっと大人の香りが漂っていたのではないかということを書いておられたんですよね。まちはどんどん進化していくんですけれども、やはり成田一徹さんがこよなく愛しておられたバーに代表する神戸の大人の香り。その大人の香りというのは、夜の神戸に漂っている雰囲気だったと思うんですね。そういうものを、過去に戻るということではなくて、やはり大人の香りが漂うような神戸の夜の魅力というものを、また新しい形で再生させていく、あるいは創造していく、その重要な舞台がバーではないかなと、そんな思いでバーに関する取組に期待をしているところです。

記者:

 ありがとうございます。
 実際コロナ禍以降の神戸市の夜のまちのにぎわいについては、どのように感じられているかということをお伺いしたく思います。

久元市長:

 特にもうここ数か月、私もコロナのときはあまり夜のまちに出かけることはなかったんですが、最近そんな毎晩うろついているわけではありませんが、夜のまち、三宮など神戸の繁華街に出ることがあります。物すごくにぎわっていると思いますね。それは例えばサンキタ通りがああいう新しい装いになった、神戸市もサンキタ広場をきれいにしたということもありますが、すごく神戸の夜のまちがにぎわっているということは事実です。

 ただ、コロナ以前に比べれば、早い時間帯、大体6時から9時ぐらいでしょうかね、まだ相当な人出がいるけれども、そこから先の少し遅い時間帯の人出が少ないということ、これはいろんな関係者が言っているところです。これはやはりそういうところにもう少しお客さんに来てもらって、夜の神戸を盛り上げていただく、それがナイトタイムエコノミーということだと思うんですが、そこに果たすバーの役割というのは非常に大きいのではないか。遅めの時間に神戸を楽しんでいただく。神戸には非常に個性がある、また歴史がある、すごくいいバーが昔からたくさんあります。ですから、今回の試みによってバー文化が改めて注目されて、バーに改めてたくさんのお客さんがバーを楽しんでいただく、そのことが遅い時間帯の人出を増やし、ナイトタイムエコノミーの活性化につながっていくということを期待したいと思います。

記者:

 ありがとうございます。

 あと1点、すいません全く違う話なんですけれども、文科省が高校の入試と生理が重なった生徒について追試を可能にするというような通知を年内に出すという方針を掲げたんですけれども、生理による受験の配慮についての市長としてのお考えをお願いいたします。

久元市長:

 文科省の通知は生徒に対する配慮の観点から出されていると思いますが、これは教育委員会所管のことですので、教育委員会のほうでそれを受けてどう対応していくのかということを考えてもらえればと思います。

記者:

 例えば、兵庫県で配慮するということになったら神戸市はそれに従うような形になるんでしょうか。

久元市長:

 これは純粋に教育の話ですので、私が答えるよりは教育委員会のほうから答えてもらうのがいいと思います。

記者:

 先日報道がありました3人目の副市長の件でお伺いしたいと思います。

 今度、森林保全等がご専門の黒田さんという方、議会のほうに人事をご提案されるご予定ということですけれども、ご専門ということもあるかと思うんですが、初めての女性の方になる見通しということで、改めて女性の方を起用する狙いですとか、こういった課題に取り組んでもらいたいとかという視点がもしあれば教えていただけますか。

久元市長:

 副市長の選任につきましては、これは議会同意が必要で、議会の同意がやはりいただけるということでなければ正式に提案するということにならないので、神戸市としてはこちらから発表するということはちょっとできなかったわけです。しかし、報道されているとおりの内容で、議会には近日中に正式に提案をしたいと思っております。

 ですから、今ご指摘がありましたように黒田慶子氏、神戸大学の名誉教授で京都大学農学部を卒業後、農林水産省に入省された後、独立行政法人の森林総合研究所で長く研究を続けられ、その後、神戸大学の教授に就任されて、去年退官されたと聞いております。日本森林学会の会長も務められたということで、森林の分野に関しては権威でいらっしゃいまして、その分野の研究者でいらっしゃいます。

 もともとこれは3月にご質問があってお答えしたと思うんですけれども、3人目の副市長については、できれば民間からお願いしたいと思っておりまして、今まで職員出身の2人の副市長に助けていただいてきたわけで、これまでもほとんどが職員出身の副市長。数は少ないながら国から招いたこともありますが、100%公務員、純粋な意味での公務員で副市長をやっていただいたわけです。私も短期間副市長をしたことがありました。私も100%純粋の公務員です。やっぱりこれから時代がどんどん変わっていく中で、公務員ばかりで副市長のお仕事をやってもらうというのは、やはり違う分野の出身の方に副市長になっていただいて、我々、我々という意味は、公務員の世界しか経験してなかった人間という意味ですけれども、そういう人間だけでは思いつかないような発想あるいはセンス、感性、そういうようなものを神戸市政に吹き込んでいただきたいと、そういう思いで黒田さんにお願いをして、大分本人逡巡された、迷われたようですけれども、最終的にはオーケーをいただいたということです。

 これから様々な新しい政策展開をやっていく上で、やはりSDGsですよね、持続可能性ということが非常に求められているわけで、この持続可能性の重要な分野が人と自然との共生、そこには森林の役割というのも大きいわけです。ですから、この分野の知識を根っこにしながら同時に人と自然との関係ということをずっと考えてこられたと思いますから、より幅広い視点で、つまり、SDGsという観点から、横串で、神戸市の様々な行政分野をご覧いただいて、新たな発想での政策展開につなげていくことができれば、これら市の知見をそういう面で発揮していただいて、新しい分野での政策展開につなげていくことができるという思いで、これから提案をさせていただきたいと思っています。

記者:

 ありがとうございます。
 森林分野の権威の方ということでご選任されたということなんですが、すみません、女性の方を選任するという点については何か思いとかはございますか。

久元市長:

 女性だからお願いしたいということはありません。これは3月にも女性ということは申し上げなかったと思いますね。民間の方をお願いしたいということでした。女性だからということではないんですけれども、結果的には、やはり女性登用ということが、我が国、全体として非常に遅れているということで、神戸市もこれまで女性の副市長は経験したことがないわけですから、民間から登用をするということを基本に考えたその適任者が女性であるということは、これは女性登用という観点からもよいことではないかなというふうに思っています。

記者:

 10月に神戸市北区の中学校3年生が、自殺と見られますけども、お亡くなりになる事案があって、いろいろ報道も出ていると思うんですけども、本人はいじめを訴えていたという案件なんですけども、これは、いじめの訴えがあって、なおかつ年間30日以上欠席が続くいわゆる不登校状態になっているという場合は、原則的には重大事態として市教委に報告して、市長にも報告を上げるという制度になっていると思うんですけど、今回それがそうなっていなかったということで、今後、第三者委員会でなぜそうなったのかということは調べていくことになると思うんですけど、現時点でのこの事案に対しての市長の受け止めとかをお聞かせください。

久元市長:

 この事案につきましては教育委員会からも報告を受けております。やはりこれを、30日以上不登校の状態であったにもかかわらず、重大事態としての認識を持たなかったと、そういう報告もなかったということについては、やはり教育委員会でしっかり説明をしていただく必要がありますし、報告を受けている内容としては、これは第三者委員会を設けて調査をするということですから、この第三者委員会の調査の中で、教育委員会の第三者委員会の調査の中で、どうして30日以上の不登校があったにもかかわらず、重大事態だと認識をしなかったのか。そこは校長、学校側の判断だったのか。教育委員会としてどうそれに対応しようとしたのかということも含めて検証していただくことが必要ではないかというふうに考えています。

記者:

 この件でもう1点だけ、すみません。やはりこういう事案は全国的にも、いじめ対策推進法ができてからも、なかなか法の理念どおりに、なかなかしっかり対策が取られずに、残念ながら子供が命を落とすという事案が、神戸市さんだけじゃなくて、あちこちで起こっているとは思うんですけども、市長部局として、こういう問題が起きないように、例えば何らかの再発防止策とか、改善策とか、そういったものを提案されるお考えはありませんでしょうか。

久元市長:

 難しい問題ですね。制度が全く違う制度であれば、つまり、いじめは教育の現場で起きるわけです。これは教育委員会の権限ということになっていますし、いじめ防止対策推進法も、教育委員会の権限、それから市長の権限をしっかり切り分けていますから、日本の制度を前提にする限り、そういう役割分担に基づいて対応していくということが必要だというふうに思います。

 これは知事や市長が教育について、前もお答えしましたけれども、どういう対応をするのかというのは、もちろんそれぞれの立場があって、いや、法律は法律で、うちは法律を、無視してとは言わないかもしれませんが、かかわらず、市長が関わるという考え方を持つ市長は少数ながらいるとは思うんですけれども、私は、やはり法律がある以上は、その考え方に基づいて対応すると。しかも、前回も申し上げたかもしれませんが、私も開催をしていますけど、総合教育会議の規定ができたときに、これは知事、市長に教育に関する権限を付与したものと解されてはならないという規定をわざわざ盛り込んでいるということは、少なくとも法律は、選挙で選ばれた知事や市長、市町村長が教育に関わるということについては相当慎重な立場でいると思います。それを前提にして考えれば、教育委員会でこの第三者委員会を設置し、しっかり究明をし、そして保護者の方も、またそれ以外の関係の方にもしっかり説明責任を果たしていただけるような対応をしてほしいというふうに思っています。

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