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最終更新日:2020年6月3日
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-神戸ふるさと文庫だより-
布引のみはらし展望台から六甲アイランドを望む
市庁舎からポートアイランドを望む
レストランなどでコックさんが働く姿を見るのは楽しい。鮮やかな手つき、みごとな身のこなしは見ていてあきることがない。
オートメーション化で大量生産が主流となる一方、「ほんもの」をめざし、ものを作りあげてゆくプロフェッショナルもまた多い。もの作りは職人が身体によって連綿と受け継ぎ、磨き上げてきた技術の集大成である。全国に名を知られるようになった神戸ブランドも近代化や機械化の背景に、こういった職人の「技」の裏打ちがあればこそ、今日の隆盛がある。
そんな技に出会えるユニークな施設が本年7月、北野町にオープンした。生徒数減少で統合した北野小学校跡地を利用し、校庭はバスターミナル、校舎内にはビール、パン、洋菓子、靴、和紙など20の店舗が軒をならべた。
単に並べられた土産物を買うのではなく、働くプロの姿を見ながら、神戸のオリジナル商品を手にすることができるという仕掛けである。さらに、レトロな雰囲気を保った美しい校舎の魅力もある。
黒部亨(神戸新聞総合出版センター)
本書には、一ノ谷の合戦や楠正成の最後となった湊川の合戦など、わが国戦史上、有名な9つの合戦がとりあげられている。兵庫における合戦は、外来の侵攻勢力に対し、地元勢力が城に立て籠もって防戦する「籠城戦」が多かった。なかでも、「三木の干殺し」という言葉が指すように、三木城の戦いは、城方に多くの餓死者を出すほど残酷なものであった。
合戦の経過にとどまらず、武将たちの人物像や、知略をつくした戦術がわかりやすく描かれ、また、合戦にまつわる秘話や謎など、エピソードも豊富で、誰にでも楽しめる一冊である。
(神戸市市民局広報課)
あの時、世界中からの支援に支えられて、私たちは生きのび、瓦礫の中から立ち上がることができた。震災から三年がすぎ、神戸の街は徐々に復興に向かいつつある。全国の人に、元気になった神戸の姿を見ていただき、感謝の気持ちを伝えるために、この写真集が作られた。
また、本書の写真展も、神戸を皮切りに、札幌から博多まで全国12ヶ所を巡回した。
(月刊神戸っ子)
神戸は「国際食」の町。世界各国のうまいもんが数えきれないほどある。その中から厳選した120店を雑誌『月刊神戸っ子』が紹介する。神戸の食をかたる上で、はずすことのできない老舗から、気軽に楽しめるうまい店まで、これ1冊でOK。神戸の食文化の豊かさをあらためて感じるとともに、この本を片手に出かけ、その豊かさを実感したくなる。
田下明光(神戸新聞総合出版センター)
かつては、職人さんは身近な存在であった。だが、大量生産、大量消費時代に入ると、街から職人さんの姿が消えていった。それでも、その技術を必要とする人たちに支えられ、こつこつと仕事をしている職人さんがまだまだいる。本書はそんな人たちを紹介する。播磨地方だけでなく、兵庫や須磨など、摂津の職人も登場する。
どの職人さんたちも仕事に対する姿勢は皆同じ。「お客さんの気持ちになって工夫して作っていく。毎日が勉強です」「名器よりは人が使いやすい物を作るだけです」と話す。どの人も職人気質の「まちの匠」と呼ぶにふさわしい人たちばかりだ。
加藤邦男編(思文閣出版)
震災では多くの寺社、民家、酒蔵、城郭、その他近代建築が被害を受けた。本書は、その状況調査と救済活動、多分野の専門家による耐震対策の調査研究報告書である。
長年その土地にあって、地域文化や景観の核となっていた「歴史的建造物」の安全性を考慮しつつ、どのように保存するかが問われている。巻末に研究の集大成としての提言がある。
日本家族研究・家族療法学会阪神・淡路大震災支援委員会編(金剛出版)
兵庫県立女性センターに寄せられた被災者の声は実に多種多様。震災という同じ経験を経ても、被災者個人の背後にある「家庭事情」により、抱えるストレスや問題は異なってくる。
医療、教育など多分野にわたる専門家たちによる研究報告によって震災後の人びと心の軌跡をたどった。執筆者も同じ被災者であり、同じ視点に立った援助活動の記録でもある。
とみさわかよの剪画・文(とみさわ工房)
震災の記録は今なお、さまざまな形で出版され続けている。本書は、剪画(切り絵)によって、故郷神戸の被災当時の姿をとどめようとした作品である。作者が生まれ育った東灘区住吉付近を中心にした20景にそれぞれ、短歌1首と短いエッセイを添えた。
なじみの場所や、なにげない日常の1コマを刻んだモノクロの静謐な画面からは、震災後の光景でありながら、懐かしさ、優しい思いなどが伝わってくる。華やかな神戸だけでなく、生活の息づく町の姿を伝えたいという作者の思いの表われであろう。
剪画という技法が、写真や絵画とは異なる魅力を持っていることを発見する1冊である。
後藤比奈夫(ふらんす堂)
句誌『諷詠』を主宰する著者が、昭和50年代以降に雑誌・新聞等で発表したものを集めて1冊とした。第1章は俳句の師でもあった父後藤夜半について、第2章と3章は俳論ともいえるエッセイで構成されている。高浜虚子や雑誌『ホトトギス』などの話題も盛り込まれ、昭和前期の関西俳壇が偲ばれる。また、著者の俳句への、そして言葉への思いが伝わってくる。
長島孝次(六甲出版)
著者が少年期を過ごした昭和16年から22年頃の阪急電鉄六甲駅周辺の情景を綴る。
かつて魚釣りをした池は、埋め立てられ、今は住宅が立ち並ぶ。評判の大邸宅、通称「あかがね御殿」は駐留軍に接収され、現在そこには小学校のプールがある。時の流れに消えていったものたち、見過ごされがちな市井の歴史の断片がこの本の中にちりばめられている。
赤松弘一文・絵(神戸新聞総合出版センター)
中学校の理科教師である著者が、生徒向けに始めた「理科通信」の5年分の内容を再編成したもの。季節を追った構成で、身のまわりの昆虫や動植物を観察した結果を、イラストと軽いエッセイ風の説明文で紹介する。
イラストはモノクロだが、対象物の細かい特徴までをうまくとらえてわかりやすい。アケビやムカゴなど、自然の恵みを味わった感想を盛り込むなど、単なる知識の伝達ではなく、著者と読者が一緒に、自然を体験できる。身近な自然と楽しみながら付き合う方法を見つける手がかりとなる好書である。
著者は化石発掘にも博識で、巻末にはガイドもある。
緑ゆたかな六甲の山々を背景にして大阪湾に向かう神戸は、開放的で明るい港湾都市として発展してきました。都市を支える原動力である神戸港は、古く慶応3年開港の歴史を持ちますが、国際貿易の進展に対応し、明治期から幾度も改修工事を繰り返してきました。
戦後には、新しい突堤や埠頭が建設されました。また、海上コンテナ輸送の時代に即応した近代的な港湾設備とともに、産業機能、住居設備や娯楽施設をもつポートアイランド、六甲アイランドといった人工島が建設されました。
それら臨海部に広がった人工埠頭や人工島と市街地をつないで、人々の足や物流を支えているのが神戸港にかかる数々の橋梁です。
神戸港の取扱荷物量の増加にともなって、昭和30年代末から摩耶埠頭の建設が始まりました。西側にある新港突堤と摩耶埠頭間に架けられたのが摩耶大橋です。1本の赤い塔柱に鋼索の張られたシンプルな橋は、当時わが国で最初の本格的斜張橋でした。
昭和40~50年代にかけては、コンテナ埠頭をもつポートアイランドが建設され、人工島への橋が架けられました。道路橋が神戸大橋、並行して架かる新交通システム(ポートライナー)専用の橋がポートピア大橋です。海に架かるまっ赤なアーチ橋は、市街地にせまる六甲山やポートタワーとともに神戸港の風景に欠かせないものとなりました。
もう1つの人工島・六甲アイランドに架かる橋の1つが六甲大橋。赤い末広がりのH型塔が2つ並んだ斜張橋です。この2階建ての橋は、六甲ライナーの他、水道・ガス・電気等の設備が敷設されており、橋梁自体が人工島を維持するライフラインとなっています。
港湾施設の拡充によって増大した貨物の輸送路を確保するには、交通量の多い阪神国道など、市街地を通る幹線道路だけでは対応できなくなりました。そこで埠頭をつないで東西を渡る新たな連絡路が計画され、次々と橋が建設されてゆきます。
ポートアイランドから六甲アイランドを結ぶハーバーハイウェイには、前述の他に3つの橋があります。赤いアーチが2つ並んでいるのが灘大橋で、アーチ部と橋桁部を結ぶ吊り材が綾状に交差するニールセン橋と呼ばれる橋です。橋を支える2つの脚柱がV字をなしている赤い桁橋が灘浜大橋、そしてハーバーハイウェイと阪神高速道路湾岸線をつなぐ白いトラス橋が、昨年完成した住吉浜大橋です。
阪神高速道路湾岸線にも多くの橋がありますが、神戸市内にあるのは、六甲アイランドに架かる白いアーチの六甲アイランド橋と、2つの白いH型塔が優雅で美しい東神戸大橋です。鋼斜張橋では橋長世界第8位を誇るこの橋は、我が国を代表する長大橋の1つです。これらの橋は港をのぞむ神戸の街を少し高台に上がって行くと、よく眺めることができます。意外な鑑賞スポットは、阪急電鉄神戸線の車窓なのですが、もちろん自動車に乗って港湾道路を走ってみると、橋梁の大きさを間近に感じることができます。